マーケットカルテ,トランプ大統領,為替相場
(写真=Thinkstock/Getty Images)

年初から、円高ドル安が進行している。トランプ新大統領の経済政策(減税やインフラ投資等)の具体的中身が出てこない一方で、保護(貿易)主義やドル高牽制と捉えられる言動が目立つためだ。20日の就任演説でも保護主義の姿勢が顕著であった。円の売り持ち高が積み上がっていただけに、失望から買い戻す動きが優勢になっており、足元では113円台後半まで円高が進んでいる。

今後のドル円相場もトランプ大統領の言動に大きく左右される展開が続くとみられる。経済政策への根強い期待から、一旦ドル高に振れる局面も想定されるが、今後3ヵ月では円高ドル安と予想している。

同氏の保護主義的主張は続くとみられる一方、経済政策は議会との調整が必要で一筋縄では行かない。相対的に負の側面が強まることで期待がさらに剥落し、ドル安に繋がるだろう。既往のドル高によって、米経済指標が下振れるリスクもある。また、欧州では春に重要な選挙を控えており、政治リスクが意識されることでリスク回避的な円買いが促される面もある。一旦110円付近まで円高が進むと見ている。

ユーロ円は年初以降、120円をやや上回る水準で膠着状態が続いている。ただし、欧州では春にオランダ議会選や仏大統領選という重要な選挙が相次ぐ。次第に政治リスクがユーロの重石となるため、3ヵ月後は120円を割り込んでいると予想する。

長期金利は、足元で0.0%台半ばにある。米金利の上昇一服によって、金利上昇圧力は緩和している。今後3ヵ月では、米経済政策への根強い期待から、一旦金利が上昇に向かう局面も想定されるが、期待は長続きしないうえ、欧州の政治リスクへの警戒も金利低下圧力となる。一方、原油価格持ち直しによって低下余地も限られるため、3ヵ月後の水準は0.0%台半ばと見込んでいる。(執筆時点:2017/1/23)

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上野剛志(うえの つよし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト

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