2019年1月より大手銀行を対象に導入される「リングフェンス規制」をうけ、英バークレイズが大規模な組織再編を実施中であることが、ロイターなど複数のメディアに報じられた。
同様の規制対象となるHSBCホールディングスも昨年から組織再編に着手しており、ほかの規制対象銀行でもなんらかの動きがで始める可能性がある。
大手銀行6社が新規制対象 リストラ実施の懸念も
「リングフェンス規制」は2014年からイングランド銀行が導入準備を進めていた金融規制だ。複数の事業を展開している国際大手銀行に対し、リテール部門と投資銀行部門の分離を義務づけることで、金融機関の破綻などのリスクを最低限にまで分散させるというものだ。具体的な詳細を記述した草案は2015年10月に発表された。
規制対象となるのは、バークレイズ、HSBCのほか、ロイズ・バンキング・グループ、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)、コーペラティブ銀行、サンタンデール銀行の英国部門。
新規制導入にともないバークレイズは新たな子会社、バークレー・サービシズを設立。これまで分離されていたリテール(小口金融)部門と投資銀行部門が統合される。世界17カ国のバックオフィス従業員1万人が社名変更など何らかの影響に対応することを余技なくされるが、一部解雇も視野にいれているという。
そのほかインドと南アフリカのテクノロジー・サポートおよびデータ管理部門を統合する案もだされている。ロイターが入手した内部情報によると、再編プロジェクトのコストは10億ポンド(約1404億8245万円)に達する見こみだ。
再編に関しては4月に正式な発表を予定しており、新たな環境での事業展開は9月を目途にしている。
バークレイズは再編後も事業基盤をロンドンにとどめる。これに対しHSBCホールディングスはロンドンのバックオフィス従業員1000人とともに、リテール・商業銀行業務の基盤をバーミンガムに移す。HSBCは新規制対応準備と称し、昨年にも1万8000人を英国のサービス部門に移動させた。(ZUU online 編集部)