3月第3週までの東京株式市場は上値の重い展開となっています。FOMC(米連邦準備制度理事会)やオランダ議会選挙、日銀金融政策決定会合他、重要日程が目白押しであったため、様子見を決め込む投資家が多かったためでしょう。

しかしこれらの重要日程は「無事通過」となり、3連休明けとなる3月第4週以降は動きやすくなる投資家も増えると考えられます。すでに大手調査機関等から2017年度の企業業績見通しが相次いで公表されていますが、上場企業の経常利益は2ケタの増益が予想されています。今後、4月下旬以降に発表が予定されている3月決算企業の業績を意識しながら、好業績が見込まれる企業を物色する動きが強まりそうです。

そこで今回の「日本株投資戦略」では、3月決算銘柄のうち最高益の更新が見込め、かつ来期(18/3期)に大幅増益が予想される企業にスポットを当ててみました。

来期「最高益」「大幅増益」が予想され、市場が注目しそうな銘柄はコレ!?

3月決算企業の第3四半期決算の発表は2月中旬までに終了し、2月下旬から3月上旬にかけては大手調査機関による企業業績の見直しが相次いで発表されています。2017年度の上場企業の経常利益は全体で10数%の増益になりそうです。

重要日程を無難に通過した東京市場では今後、4月下旬以降に発表が予定されている3月決算企業の業績を意識しながら、好業績が見込まれる企業を物色する動きが強まりそうです。そこで今回の「日本株投資戦略」では、3月決算銘柄のうち最高益の更新が見込め、かつ来期(18/3期)に大幅増益が予想される「好業績銘柄」にスポットを当ててみました。「好業績銘柄」を抽出するためのスクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証に上場する3月決算銘柄であること
(2)17/3期に過去10年間の最高営業利益を上回ると予想(市場コンセンサス)されていること
(3)17/3期の予想EPSが過去4週間で1%超上昇していること
(4)18/3期の予想営業利益(市場コンセンサス)が10%超の増益予想であること
(5)予想PER(17/3期ベース)が20倍未満であること

スクリーニングでは過去10年間の営業利益をチェックし、最高益企業として抽出していますが、抽出された企業の財務データを再度チェックし、全銘柄が過去10年間に純利益ベースですでに最高益を更新していることが確認されています。予想PERについては20倍未満としていますので、極端に割高な銘柄は排除されやすくなっていると考えられます。

(1)~(5)の全条件を満たした銘柄を18/3期の予想増益率が大きい順に並べたものが表1になります。ちなみに、18/3期の増益率が高いと見込まれている業種は鉄鋼、電気機器、鉱業、非鉄金属等ですが、表1の銘柄はそうした業種に著しく偏っていないように見受けられます。18/3期に企業の利益を押し上げる大きな要因としては円安や市況の改善が想定されますが、やはり「最高益」を更新するためには、企業自身の稼ぐ力や経営力も強いということが重要になっていると考えられます。

来期「最高益」「大幅増益」が予想され、予想PERが20倍未満の銘柄

来期「最高益」「大幅増益」予想銘柄の投資ポイントは?

図1:前田建設工業(1824)・日足
図1:前田建設工業(1824)・日足

表1でご紹介した銘柄のうち、上位にあげた銘柄の業績動向を中心にご説明したいと思います。

前田建設工業 <1824> は首都圏の再開発案件等を中心に好調が続いています。17/3期の営業利益は第3四半期までの進捗率が92%と高水準で上振れる可能性が大きくなっています。同四半期末の手持ち工事高は前年同期比13%超増えており、18/3期も最高益の更新が見込まれます。なお、3/16(木)に17/3期の配当予想増額を発表しています。

図2:スズキ(7269)・日足
図2:スズキ(7269)・日足

スズキ <7269> はインド事業を展開する子会社「マルチスズキ」の利益寄与度が高いのが特徴です。インドの自動車市場は自動車の保有率で中国の3分の1に過ぎない一方、経済成長率は今年も7%台後半が予想され、数年以内には日本市場を抜くとみられます。「マルチスズキ」はインド市場の過半を握っており、その業績拡大をけん引役とし、当社の業績も拡大が期待できそうです。為替も想定以上のルピー高・円安傾向で17/3期の営業利益は会社計画に対する上振れが期待できそうです。

図3:SCREENホールディングス(7735)・日足
図3:SCREENホールディングス(7735)・日足

SCREENホールディングス <7735> では、あらゆるものがインターネットにつながるIoTの普及を背景にデータセンター向けの半導体の需要が拡大し、同製造装置の受注・売上高が高水準で推移しています。第3四半期末の受注高は四半期ベースで過去最高となり、受注残高も前年同期比30%増と順調です。18/3期についてもファウンドリーやフラッシュメモリ向けに受注拡大が期待できそうです。

図4:ニプロ(8086)・日足
図4:ニプロ(8086)・日足

ニプロ <8086> は第3四半期までの累計営業利益が前年同期比41%増と好調で、通期予想に対する進捗率も90%に達しており、上振れが期待されています。医薬品の製造受託事業では86社・697品目を取り扱うなど幅広く展開していますが、注射器に薬を入れて販売する「プレフィルドシリンジ」が医師・看護師の作業量やミスを防げるとして市場が拡大しており、当社の強みにもなっています。足元では機関投資家の評価も高まり、株価が急上昇しています。

図5:ソフトバンクグループ(9984)・日足
図5:ソフトバンクグループ(9984)・日足

ソフトバンクグループ <9984> の連結営業利益は第3四半期までの累計で9,496億円(前年同期比18%増)と好調でした。国内携帯電話事業と米スプリントの採算改善が大きく貢献したようです。当社は現時点で会社側からの業績予想は公表していませんが、市場では17/3期の予想営業利益を1兆1,500億円前後(前期比15%増)とみているようです。一時スプリントやアーム等の売却(検討)報道が出るなど、グループ再編に絡む思惑が交錯しているようです。ただ、予想PERの面ではNTT <9432> やKDDI <9433> との比較で割安感が強まっていると考えられます。

共立メンテナンス <9616> は学生寮や社員寮の運営の他、ビジネスホテル等も手掛けており、東京五輪開催に向けた訪日外国人の増加が追い風になっています。2018年に向けても県庁所在地を中心にビジネスホテルを増やす方針のようです。

アイシン精機 <7259> はトヨタ自動車系の部品会社で、自動車の基幹部品であるAT(自動変速機)で世界最大手となっています。同製品は新興国を中心に向こう10年は拡大が続くと予想されているようです

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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