ドル円予想レンジ 106.80- - 111.00
「North Korea is looking for trouble. If China decides to help, that would be great. If not, we will solve the problem without them! (北朝鮮は面倒を起こそうとしている。中国が協力を決断しなければ我々は独力で問題を解決する)」-。
これはトランプ米大統領による4/11のTwitter文だ。北朝鮮への警告とともに対米通商・通貨政策を弱みとした中国に協力を求めた格好となる。4/15の故・金日成主席生誕105年記念日、4/25朝鮮人民軍創建85周年を念頭とした北朝鮮の行動、中国を巻き込んでのトランプ大統領の対応如何で4/17週の円は大きく左右すると読んでいる。
朝鮮半島有事に備え
極東地政学リスクで円のセンチメントが警戒視されている。投資家の不安心理度合いを示すVIX・恐怖指数は昨年6月英EU離脱時や11月米大統領選以来の16.28水準にまで上昇。永田町からは自民党が4/14役員連絡会で、朝鮮半島有事に備え、即応できる態勢を予め整える方針を確認したなど緊迫ムードも伝わる。
では、朝鮮半島情勢は最悪のシナリオに向かい、そして日本の金融市場は大混乱するのか。筆者は前号でも指摘したが、米国の対日投資棄損や “同盟国日本”の経済が窮するような行動は抑制するものと読む。
米中日は世界のGDPトップ3でもあるのだ。とはいえ、予測不能のトランプ米大統領と北朝鮮最高指導者金正恩氏。相応のリスクシナリオを推考しておく必要も当然あろう。
有事での円初期反応とその後
朝鮮半島有事(第二次朝鮮戦争?)での初期反応は、リスクオフでの円買い戻し圧力増幅の可能性がある。巨額の対外債権国である日本資産の母国回帰、対外純資産残高339兆2630億円が取り崩されて円転を促すとの見方である。
ただ、必ずしも一本調子の円高が続くとは見ていない。東日本震災発生時2011/3/11のドル円安値81.65円から3/17安値76.34円を先例とすると、円高進行幅は約6円となったが協調介入での円売りもあった。その後に有事長期化や日本被害が甚大となれば円の信用棄損、日本売りの円売り、とした恐れも燻る・・。
ドル円上値焦点は4/11高値110.90、週足一目均衡表の雲帯上限110.982。超えれば4/3、10高値111.60。下値焦点は月足一目均衡表雲上限108.986、200日移動線推移の108.70圏、昨年11/17安値108.545、11/15安値107.76。割れると11/14安値106.725、11/11安値106.041維持が問われる。(前出、朝鮮半島有事の際の下値ベンチマークとして週足一目均衡表雲下限103.819留意)
武部力也
岡三オンライン証券
投資情報部長兼シニアストラテジスト