中米カリブにある米国自治領プエルトリコが連邦地裁に破産法適用を申請した。債務は700億ドル(約7兆8000億円)から740億ドル(約8兆3000億円)。

2013年に破産したミシガン州デトロイトの負債額180億ドルの約4倍で、自治体としては米国史上最大の破産手続きとなる。これによって米国の多くの金融機関が保有する、プエルトリコ債に多額の損失が発生する見通しとなった。また債券を保有する本土の富裕層や年金基金にも多大な影響が出そうだ。

財政悪化で本土への人口大量流出

破産,
(写真=Naruedom Yaempongsa/Shutterstock.com)

観光産業が中心のプエルトリコは、2008年のリーマン・ショック後の景気悪化で税収が悪化した。経済は長期低迷が続き、公共サービス,社会福祉は落ち込み、求職難が原因により米本土への若者の人口流出が続いていた。州の財政は急速に悪化し続け、2015年8月にデフォルト(債務不履行)が宣言され、債務者のヘッジファンドとの協議も不調に終わった。
自治領は全米50州と異なり、自治体の破綻手続きを定めた連邦破産法第9条の適用外だった。しかし、16年6月に、支援法が成立して同様の手続きが認められていた。今後は裁判所の管理下で債務整理が進められるが、高利回りのプエルトリコ債を抱える金融機関や投資ファンドに計り知れない損失を生みそう。プエルトリコ住民へのサービス低下も免れない。

2015年には消費税を引き上げ

プエルトリコの人口は2000年初めをピークにして減少傾向にあり、2010年国際調査の370万人も割り込んでいる。米本土で教育を受けた若者が、出生地を見放してフロリダ州など本土に移住するケースは、財政破たんが深刻になる2014年ごろから急増し始めた。

プエルトリコでは、金利収入に連邦税、州税、地方税がかからないので、その自治体債は投資家や個人とその代理人的の役割を果たす地方債ファンドを引き付けてきた。その結果、プエルトリコと多種多様な事業体はカリフォルニア州、ニューヨーク州に次ぐ規模の地方債発行元になってしまった。

プエルトリコは2015年、720億ドルの債務返済ができないことを理由に、7月に消費税を7%から11.5%に引き上げた。失業率は本土平均の2倍以上の12%余り。破産の下地はこのあたりからあった。

米連邦議会は財政管理委員会を創設して、プエルトリコ監視・管理・経済安定化法(PROMESA)に基づく保護適用を決めた。ウォールストリート金融界は、投資信託会社のフランクリン・リソーシス、オッペンハイマーファンズ、ヘッジファンドのアウレリウス・キャピタル・マネジメントなどを中心に債務の決着を図ることになる。

財政管理委員会の発足によってプエルトリコは、アナリストの予想を上回る債務の喪失が避けられない情勢である。あるアナリストは「(ウォールストリートとプエルトリコの)ハネムーンは終わった」とコメントしている。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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