熾烈な競争が日々繰り広げられる飲食業界において、2017年の酉年にふさわしく焼き鳥やから揚げ居酒屋が厳しい戦いを生き抜き、市場が成長している。

そんな中、肉を巡るもう1つの熱い戦いが「とんかつ」市場でも展開され、成長が期待できるマーケットに異業種が相次いで参入し、とんかつ市場が熱を帯びる。とんかつに狙いを定めて進出する各社の思惑はどこにあるのだろうか。

根強いとんかつ人気 大手チェーンの業績好調

とんかつ市場,かつや
(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

牛丼御三家ほど一般的には馴染みがないかもしれないが、とんかつ業界にも重鎮が存在する。

国内外で381店舗(2017年3月末時点)を展開する「かつや」は、活況を呈するとんかつ市場をリードする。定番の人気メニューのロースカツ定食(税込745円)に加え、フェアメニューを効果的に投入し、消費者のハートを掴んで離さない。かつやを運営するアークランドサービスホールディングス <3085> の2017年12月期第1四半期の連結決算では、売上高が前年同期比12.0%増の62億2300万円、営業利益23.2%増の10億700万円、純利益は同39.1%増の6億5600万円と好調な業績を上げている。

かつやに続くのが、グループ全体で283店舗(16年1月1日時点)を運営する和幸(非上場)だ。いまやとんかつ店では当たり前となったご飯・キャベツ・味噌汁のおかわり自由のサービスは、とんかつ和幸が全国に広めたとされる。ロースかつ御飯1190円(税込)などの定番となるグランドメニューに加え、季節限定メニューを充実させ、1958年の創業以来ファンに愛され続けている。

とんかつを中心に企業の運営を展開する2社とは別に、主力の飲食業態に加え、とんかつ事業を成長事業として育て、存在感を放つ企業もある。長崎ちゃんぽんで有名なリンガーハット <8200> もその例の1つで、「とんかつ濱かつ」を国内外で112店舗(2016年11月末)のネットワークを誇るまでに成長させた。ロースかつ定食100g1290円(税抜)などのバラエティメニューに加え、ロースかつとチキンかつの濱かつランチ790円(税抜)をはじめとするランチメニューも人気を集める。

ワンコインメニューで躍進 とんかつチェーン新勢力の台頭