日本はアジアで唯一、G7(先進主要7カ国)の一つとして世界の経済をリードしてきました。しかしこの20年あまりの間に新興国の存在感が高まり、世界経済の主要な枠組みも20カ国を数えるG20に移ってきています。特に日本は成長性の観点で他の新興国に比べ存在感が劣ることも多い、とみられるのが現状です。

また、働き方改革の議論の中でたびたび指摘されることですが、労働生産性において低いレベルに留まってしまっているのが、日本の現状です。2014年の日本の労働生産性はOECD加盟34カ国中、第21位で米国の約6割の水準です。

日本の企業社会に古くから存在している管理制度は、個人の成果を直視するために不向きであると指摘されることも多く、今後は人事評価制度も含めた抜本的な働き方改革が進んでいくとみられます。

今回は、働き方改革を推進するために日本には何が必要なのか、また一般的に日本よりも個人の成果に焦点を向けると言われる海外から見ると、日本はどのように映っているのかを紹介します。

プレゼンスを下げている日本の現状

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(写真=leungchopan/Shutterstock.com)

前述のとおり、日本の労働生産性は低位にとどまっています。G7の中では最下位となり、今後人口が減少していく経済圏としては、世界経済の中で存在感を発揮するには非常に心もとない数字となっています。労働環境や採用シーンを基準としたシンガポールでの「就職したい企業ランキング100」では、日本企業は0と惨敗し、著しくプレゼンスに欠ける結果となってしまいました。

海外からは日系企業の働き方への懸念も改めて高まり、昨年発生した大手広告代理店での新人女性社員の過労自殺事件では「Karoshi」という言葉が改めてクローズアップされました。長い残業時間や人材育成の不備など、人材市場における日本企業のプレゼンスは乏しくなっているのが現状です。

高度成長期において日本の労働力を支えた「終身雇用制度」や「年功序列制度」には、個々の人材を育成するという観点が備わっておらず、日本企業が進めるべき働き方改革への足踏みが助長されてしまいます。ここが問題の根源なのです。

人材獲得競争への遅れとリスク

このような現状にとどまることのリスクとして「人材獲得競争への遅れ」が挙げられます。

「企業は人材なり」という言葉があるように、優秀な人材を確保することこそが、企業存続の第一歩であることは間違いありません。実際、多くの中小企業が直面している問題が人材不足であることに異論を唱える方はいないでしょう。

人材不足は、企業の経営活動に最も影響を与えるものです。厚生労働省による2017年3月時点の有効求人倍率は1.45倍となっており、依然労働者側にとって優位な、売り手市場が続いています。こうした中、海外市場への進出にあたって日本企業の労働環境へのイメージの悪さから現地の優秀な人材を採用できず、ベテラン社員が対応せざるを得ない企業も数多く見られます。

言うまでもなく、たくましい労働力を高い生産性により企業業績につなげていくことは企業経営の根幹です。人材獲得競争で優れた原石を発見し一日でも早く戦力化するためにも、採用の段階でまず求めるポジションへの適性や向き不向き、個性を判断できるような仕組みを築いておくことが重要です。

海外社員も評価可能にする制度設計が不可欠

すでに企業活動のグローバル化は進んでおり、新しい拠点として海外に支店を立ち上げたり、国内でも海外出身の人材を採用することを検討する機会が増えています。

日本企業は同質性の高い人材で構成されていた時代が長いため、海外社員への評価制度が出来上がっていない場合が多いようです。企業人事はこのような社会の動きに柔軟に対応しながら、海外社員も評価可能な具体的な評価制度を作り上げる必要があります。

海外社員はチャレンジ精神にあふれ、キャリアップへの意識が高くなっています。このため、個々の持ち合わせる才能を自由に発揮し、活躍できる企業風土を築くことも大切です。業務での成果をフェアに評価できる制度設計を心がけ、戦力となる海外社員の雇用を成功させていきましょう。(提供: あしたの人事online

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