ドル円予想レンジ 110.90-113.80

武部力也,為替相場見通し,安倍1強
(写真=Drop of Light/Shutterstock.com)

「『自民党は何をやっているんだ』という厳しいお叱りも頂いている。自民党総裁としても、そういう厳しいお叱りを頂き、お詫びを申し上げたい」-。これは6/28の夜、東京都議会議員選挙の自民党候補応援演説における安倍首相の弁だ。信頼回復に努める考えを示した格好となる。

支持率低迷でもアベノミクスは継続

最近の報道各社世論調査では安倍内閣の支持率低下が顕著だ。自民党内では来年の総裁選を控え、いわゆる「安倍1強」とされるが、現況、7/2投開票の東京都議会議員選挙(定数127)への予想報道は「自民党不利」「都民ファースト優勢」が目立つ。確かに自民党の都議席減は、相応のダメージとなろう。

しかし直ちに安倍政権瓦解、政権交代リスクが浮上するとは到底、考えられない。1993年当時は日本新党躍進から細川内閣誕生へ、2009年民主党大勝で鳩山内閣誕生の流れと、都議会選挙の結果が政権交代を促した経緯があった。しかし、今夏は国政選挙の予定はなく、8月には安倍内閣改造・自民党役員人事に踏み切る意向も報じられており、人事で求心力を維持し、政権基盤の安定を優先させる筈だ。

6/19の記者会見では「経済の好循環を更に力強く回転させていくため、これからも安倍内閣は経済最優先で取り組んでまいります」と首相自らが明言。安倍首相自身が“信なくば立たず”と反省の弁も示しているので本稿では支持率低下の理由を探るつもりはない。しかしながら、安倍政権への逆風が強まれば強まるほど、長期運用機関群を通じた“オールジャパン”で円高抑制行動を行い、信頼回復に努めるのではないか、と筆者は邪推してしまう。景気浮揚を以て有権者、国民、市場参加者の信を得る必要に追い詰められた観だ。

7月第1週のドル円見通し

7/4米祝日、7/7米雇用統計を控えてドルの主体性は低下しそうだ。しかし主要中銀が先行き緩和政策縮小、出口論を強める一方で、日銀緩和は継続とした見方が円キャリー、特にクロス円動向がドル円を牽引すると読んでいる。

上値焦点は月足一目雲上限112.675、6/29高値112.94、5/17高値113.12。超えれば5/12-17高値圏113.78-86-97。下値焦点は日足一目均衡表雲の帯(111.83-25)、6/26-23安値圏111.19-15、200日線111.10。6/22安値で週足一目均衡表雲上限110.90を最終橋頭保と推考。

為替見通し6-30

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト