「タックス・ヘイブン」として有名なヴァージン諸島とパナマが、租税回避地としての歴史に終止符を打とうとしている。

ヴァージン諸島では税関係の個人・法人情報がすべて政府のデータベースに登録されることが義務づけられ、パナマでは海外からの口座開設・管理、所謂「オフショア銀行業務」が廃止になる。

ヴァージン諸島ではペーパー会社の設立が困難な環境に

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

受益所有権の関連情報を英国政府と共有することを義務づける新規制「BOSS(Beneficial Ownership Secure Search system )ACT2017」に応じ、ヴァージン諸島でも6月よりBOSS専用のプラットフォーム が導入された。

これにより今後ヴァージン諸島における税関係の個人・法人情報は、政府規制当局の監視下に置かれることになり、事実上タックス・ヘイブンとしての歴史に終止符を打つ。

英金融情報サイト、The Escape Artist の報じたところでは、会社の所有者、あるいは10%以上の株を所有する株主を含む受益者情報を政府に公開することが義務化されるほか、会社の所有者は「実在する人間」のみに資格が与えられ、「トラスト(企業合同)」形態は承認されなくなる。

個人の住所変更から株主情報の変更まで、あらゆる更新情報を15日間以内に申告することが義務化されるなど、規制が著しく強化されるため、例えばペーパー会社の設立などが困難になる。「隠したくても隠せない環境」に移行させることで、不当な租税回避行為を取り締まる方針だ。

パナマの「オフショア銀行事業」も廃止

巨大企業や富裕層の租税回避を暴いた「パナマ文書」の舞台、パナマもタックス・ヘイブンからの離脱に動きだした。海外からの口座開設・利用を禁じるなど、多数の富裕層に利用されていた「オフショア銀行事業」を実質上閉鎖すると、国際事業サイト、プレミア・オフショアは報じている。

今後は移住証明や納税申告、事業証明や現地(パナマ)での事業の所在地などが、口座所有の必須事項となる。

パナマ文書の流出以降、過度の租税回避を非難する国際的な圧力に耐えきれず、方今転換を図らざるを得ない状況に陥ったようにも見えるが、これまで巨額の富を「合法的に隠してきた」高所得層が、そう簡単にタックス・ヘイブンからの受益を諦めるとは思えない。
パナマやヴァージン諸島から租税回避地として価値が失われるのであれば、香港やバミューダ諸島、ケイマン諸島など、ほかのタックス・ヘイブンに資産を移行させるだろう。

米国、EU地域では悪質な租税回避行為を取り締まる強化対策が進行しているほか、OECD(経済協力開発機構)といった国際機関も同様の動きを見せている。

実現への道のりは長くとも、国境を越えた国際水準の規制フレームワークの設置や協力体制が、今後の取り組みの課題となるのではないだろうか。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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