保険のメリット・デメリット
では、保険のメリット・デメリットについてお話していきましょう。
メリット
① 万一の備え。
既に述べましたように保険の一番のメリットと言いますか、保険の中核となる仕組み、それは「万一の備え」となることです。
死亡したときに、扶養家族が妻・子ども2人いたとします。その時、遺された遺族に対し、5000万円を残したいと思っても、実際にそれだけの貯蓄をすることは難しいのではないでしょうか。保険を使えば、遺族が当面生活できるだけの保障を得ることができます。
② 貯蓄効果も期待できる。
保険には、強制的な積立効果も期待できます。普通に貯蓄が難しい人でも、保険の掛け金であれば、支払いが強制であるので、きちんと積立ができます。
また、預貯金では、1,000万円貯めようと思うと、月々5万円の積み立てで約16年かかります。
その点、保険であれば、保険を掛けた次の月に万一のことがあっても、一か月の掛け金だけで、1000万円の保障を得ることもできるのです。
③ 税制上の優遇措置がある。
支払った保険料に応じて、所得税と住民税の軽減措置が受けられます。年末調整もしくは確定申告をする必要があります。
デメリット
① 保険料が高い
保険のデメリットで一番大きいことは、保険料が高いということでしょう。保険は人生で住宅に次ぐ大きな買い物であると言われます。月1万円の掛け金として、30年間保険料を払い続けた場合、総額360万円と軽自動車3台分くらいの金額になってしまいます。
② わかりにくい
人生で二番目に大きい買い物と言われる割に、保険という商品は大変わかりにくい商品です。わかりにくいため、商品比較が容易ではありません。
他の金融商品、たとえば定期預金と比べてみましょう。定期預金、2014年1月現在ゆうちょ銀行で0.03%ですね。より高い利率で預けたいと考えるのであれば、金利だけを比較すればよいでしょう。
しかし、保険はどうでしょうか?より安い掛け金のところを・・・と考えても付帯する保障や条件が各社様々で、簡単に比較はできません。
結局、熱心な営業さんに根負けして、加入してしまう人が多いのではないでしょうか。
③ 公的な保険で代替できる?
高額療養費制度という言葉を聞いたことはありませんか?国民皆保険制度が採用されている日本において、公的保険に未加入の人はいません。自己負担額が80,100円(上位所得者は150,000円)を超えたとき、その額に医療費-267,000円(上位所得者は500,000円)の1%を加算した額を超えた額については、給付を受けることができます。
少しわかりづらいですね。例を出して計算してみましょう。もし、一か月の医療費が100万円かかった場合、窓口の支払いは30万円ですね。
80,100円+(1,000,000円―237,000円)×1%=87,430円
これが自己負担の限度額となります。支払った30万円から87,430円を引いた額212,570円は戻ってくることとなります。
大方は公的保険で何とかできそうですね。保険が必要な場面は、たとえば、公的保険が利用できない先進医療など、極めて限定的な場面になりそうですね。
④ 持病や検診で異常があれば、加入できない、もしくは掛け金が高額になるリスクがある。
困った人のための相互扶助の仕組みが保険なのですが、既に病気を持っているなどのハイリスクな人は保険加入が難しいです。もし、入れるものがあったとしても、リスクに応じて掛け金が高くなるという可能性があります。
相互扶助と言っても、限られた人の相互扶助の仕組みであるようです。
まとめ
いかがでしょうか。保険の仕組み、メリット・デメリットがご理解いただけましたでしょうか?
「保険は不可解で難しいもの」と考えている人も多いかと思われますが、実際は保険は不可解でも難解でもありません。保険が難しいというのは、つまりは保険会社の商品設計が難しいというだけの話なのです。
ここでしっかりと保険について学んでから、保険加入について考えてみましょう。保険は高い買い物です。焦って買う必要はどこにもないことを肝に銘じておいてください。