インフレの足音が強まっている。アサヒグループホールディングス(2502)が瓶ビールなどの値上げに踏み切るほか、居酒屋の鳥貴族(3193)は30年近く維持してきたメニューの均一価格を今月引き上げた。ペッパーフードサービス(3053)もステーキなどを値上げ済み。身近な物価の上昇とともに、投資戦略も「脱デフレ」モードに切り換える必要がありそうだ。

デフレ,値上げ
(写真=PIXTA)

アサヒは来年3月に瓶ビールや業務用の樽(たる)詰めビールの売価を10年ぶりに引き上げる。瓶ビール(大瓶)の値上げ幅は10%と大きく、収益好転につながる期待でこの日の株価は上場来高値を更新した。キリンホールディングス(2503)やサッポロホールディングス(2501)にも思惑買いが向かった。

既に値上げが加速している外食業界では、レストラン大手のすかいらーく(3197)が直近メニューを改訂した。ハイデイ日高(7611)やリンガーハット(8200)といった大手チェーンも相次ぎ値上げを打ち出しており、いずれも株価は堅調だ。

総合スーパーなどの価格競争はいまだ激しいとはいえ、デフレよりもインフレを実感する消費者が増えてくるはずだ。9月にははごろもフーズ(2831・(2))がツナ缶「シーチキン」を、10月からは日清オイリオグループ(2602)が家庭用食料油やオリーブオイルを値上げしている。

全国コアCPI(消費者物価指数)は8月が前年同月比0.7%増と、およそ3年ぶりの上昇幅を記録した。今後も多方面での値上げの動きが指数に反映される可能性が高い。世界的にも、金融緩和策の転換に伴う金利上昇期待が強い。

インフレは基本的に株価に好材料だ。中でも銀行などの金融株や、不動産株に恩恵が大きそうだ。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や株価に出遅れ感のある三井不動産(8801)を狙いたい。また、値上げ期待の銘柄としては、油価格の上昇を背景に串カツ田中(3547・M)のほか、居酒屋チェーンのヨシックス(3221)に注目したい。(10月6日株式新聞掲載記事)

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