全体が縮小傾向にある新聞業界にあって、朝日新聞社がさまざまな異業種に挑戦して目立っている。

最近では、新規事業「Meeting Terrace」(ミーティングテラス)を開始。これは「40才以上のシングルの方々に出会いの場を提供するサービス」。つまり「出会いビジネス」ということだ。

ただ発案者の朝日新聞社メディアラボの井原成美氏はインタビューで、「ネット上の出会い系サイトとはまったく別物」としている。具体的には、ワインセミナー、著名人による講演会などを開いた後に参加者同士の交流会を開催すると紹介している。

このほかにも同社は新しい取り組み、新聞社らしからぬ事業に進出している。はたして同社の経営状況はどういったものなのだろうか。

売り上げは横ばいだが営業利益は減少

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(画像=Meeting Terrace Webサイトより)

朝日新聞サイト内で公開されている2017年3月期の決算短信を読むと、売上高は2016年3月期が4200億6900万円、17年3月期が4009億9400万円と、4.5%程度の減少。ほぼ横ばいだ。

だが営業利益を見ると話は変わる。こちらは16年3月期が120億8800万円に対し、17年3月期が70億1700円とマイナス41.9%の減少だ。

営業利益とは「売上高(粗利益)」から「販売費及び一般管理費」を差し引いた数値で求められる。売上高が横ばいにもかかわらず営業利益が減少しているということはすなわち何らかの原因で利益率が落ちているということである。

新聞の発行部数減だけでなく、利益減少という点に危機感を抱いて多角経営化を促進していると考えることができる。

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