先週(11/20〜24)の日本株は反騰、日経平均は週間で154円05銭(0.7%)高の2万2550円85銭で引けた。
日経平均は、11月9日に25年ぶりの高値2万8382円を付けた後、スピード調整に入っていた。11月16日に2万2000円と25日移動平均線にタッチして切り返したことで、調整完了感が拡がった。大型株には押し目買いが入り、出遅れ感のある新興市場も買いが入り始める展開だった。
世界的な株式市場のスピード調整を演出したのは、商品投資顧問(CTA)系のヘッジファンドだと言われている。決算期末の解約によるポジション解消を、株、ドル、原油などに幅広く出したとの見方が強い。ヘッジファンドの決算期は11月末が多いため、解約売りだとしたらすでに峠を越した可能性が高いだろう。
9月に始まった日本株のラリーで、押し目らしい押し目は初めてだった。売り一方だった個人投資家が押し目買いに動いた。投信も買いに転じている。国内機関投資家も持たざる恐怖でスタンスを変え始める可能性があるだろう。
東証1部の売買代金は11月19日に4兆9935億円の大商い、それ以降も3兆円を超えるような大商いが続いていたが、先週は1日も3兆円を超えなかった。大型株の外国人の買いはややスローダウンしている。一方で11月17日の週は久しぶりの押し目に個人投資家が10週ぶりに買い越しに転じた。先週は個人投資家の比率が高いマザーズ市場が連日上げ6連騰になった。いよいよ全員参加型の年末ラリーが期待される。
先週(11/20〜24)の振り返り
20日の日経平均は3日ぶりに反落、前日比135円04銭(0.6%)安の2万2261円76銭で引けた。
17日のNY市場で、トランプ政権の税制改革の実現に対する懸念とトランプ陣営のロシア疑惑を巡る不透明感からNYダウが100ドル下落、ドル円も10月6日以来1ヶ月ぶりの水準となる111円95銭をつけた。また、ドイツではメルケル首相が率いる与党の連立協議が決裂したことも地政学リスクとなった。
海外株安、円高から、日経平均には利益確定の売りが先行し一時180円安まで下げたが、午後から日銀のETF買いが717億円入り下げ幅を縮小して引けた。
21日の日経平均は反発、前日比154円72銭(0.7%)高の2万2416円48銭で引けた。 政治懸念が問題に見舞われたドイツ株が切り返し上昇したことで投資家心理が改善、世界の株式市場は反発した。その流れを日本市場も引き継いだ。午前中には一時300円高まで買われる局面があったが、上げ幅を縮小しプラスながらも安値引けだった。
22日の日経平均は続伸、前日比106円67銭(0.5%)高の2万2523円15銭で引けた。 NYダウが上昇したことでリスクオンとなり11月10日以来の高値を付けた。米国市場はハイテク大手企業であるFANG銘柄が上げに大きく寄与、日本でもハイテク株が市場の戻りを牽引した。
24日の日経平均は3連騰、前日比27円70銭(0.1%)高の2万2550円85銭で引けた。
22日に公表された米FOMCの議事要旨で来年の米利上げペースがスローダウンするとの見方が広がり円高が進行した。日米が休日だった23日の欧州市場では111円20銭台までの円高が進んだ。日本株は円高を嫌気してギャップダウンして始まり一時150円安となったが、黒田日銀総裁の後任に金融緩和に積極的な本田駐スイス大使の名前が挙がり、午後から週二度目となる日銀のETF買い717億円が入った事で上げ始め午後にはプラスに転じた。
先週の海外市場を振り返る
24日のNYダウは31ドル高と反発、3万3557ドルで週の商いを終えた。週間では167ドル高で3週間ぶりに上昇となった。 感謝祭明けの24日はクリスマス商戦が始まる小売売上が多い日でブラックフライデーと言われている。ブラックフライデーの売上が好調と伝わりアマゾンが史上最高値を更新したことで市場は堅調に推移した。日本でTOPIXに相当するS&P500は過去最高値を更新した。
リスクオンの動きからドル円は小動きながらもしっかり。NY為替市場は111円60銭で引けた。東京市場の17時の111円43銭からは17銭の円安だった。
NY株高、円安から日経平均の夜間取引は2万2640円、24日の大阪先物の引け比60円高と堅調な東京市場を引き継いだ。
今週(11/27〜12/1)の株式展望
今週の日経平均の予想レンジは2万2250円〜2万2800円を想定している。 日本株のファンダメンタルズはマクロも企業業績もバブル崩壊後最高の環境になっている。7〜9月期の企業業績の上方修正で日経平均のPERは14.8倍とまだ過去の平均水準だ。ここ数年、日本株が買われるときは16倍程度まで上げている。
日経平均がPER16倍のレベルなら2万4384円になる。日経平均は年末から年度内にむけてこの水準を目指すと考えている。12月1日の日銀短観(7〜9月期)で好業績が確認されれば改めて好感される可能性が高い。月初は17ヶ月連続で上昇している。
日経平均が調整した11月17日の週の投資家別売買動向で、外国人投資家は現物を3212億円売り越した。8週間ぶりの売り越しだった。これは前述のヘッジファンドの売りに、トレンドフォロー型のヘッジファンドが追随したためと思われる。基本的に9月以降買いの主役は欧米の長期投資家である年金資金だった。ヘッジファンドが比較的短期投資なのに対し、年金資金の場合は長期スタンスであり、投資方針を一度変えればそれほど大きく替えることは少ない。
外国人が売り越しに転じた一方で個人投資家は2353億円の買い越しとなり、なんと10週間ぶりに買い越した。投信も147億円の買い越しと9週間ぶりに買い越しに転じている。ついに待ちに待った押し目に動き出したようだ。
海外投資家の買いペースはさすがにスローダウンしたとしても、基調は大きくは変わらないだろう。個人投資家や国内機関投資家が参戦しはじめれば全員参加型のブル相場に入る可能性がある。
先週は、銀行などの出遅れセクターや、出遅れ感の強いマザーズ市場の好決算株物色が始まった。特に個人が大好きなマザーズ市場が6連騰を記録している。遅れて参加した投資家は高値圏にある銘柄よりも、割安銘柄から物色を始めることが多い。物色動向がやや変わり始めたことも個人や投信が買い始めたことを裏付けている。
先週は東証1部の売買代金が一日も3兆円を超えなかった。市場全体が落ち着けば新興市場など小型株の物色が継続する可能性が高いと見ている。
今週の下値のサポートは25日移動平均線の2万2250円。上値は17日高値の2万2757円となろう。
今週のイベントは、日本では29日に東京ビックサイトで国際ロボット展がある。世界では27日が米サイバーマンデー売上が注目、ロスでは自動車ショーが始まる。28日に次期FOMC議長のパウエル氏が上院公聴会出席、29日に米ベージュブックがある。
今週の経済指標は、日本では29日に10月小売業販売額、30日に鉱工業生産、12月1日に10月消費者物価指数、7〜9月の法人企業統計、10月有効求人倍率、10月失業率、10月家計調査、11月新車販売がある。海外では、27日に米10月新築住宅販売、28日に11月CB消費者信頼感指数、9月S&P/ケーズシラー住宅価格指数、29日に米7〜9月GDP改定値、30日に米10月PCEコアデフレーター、ユーロ圏11月消費者物価指数、中国11月製造業PMI、12月1日に米11月ISM製造業景況指数、米11月自動車販売がある。景況感、インフレ動向に注目が集まる中、PCEコアデフレーターとISM指数は特に注目度が高い。利上げが確実視されている米FOMCは12月13日に控えている。 (ZUU online 編集部)