ドル円予想レンジ111.70-113.50

「JapanesesumostarHarumafujiretiresafter'violentassault'(日本の相撲スター、日馬富士が暴行問題で引退)」-。これは11/29に英放送局が伝えた見出しだ。今回の騒動に責任を取って引退した横綱・日馬富士は記者会見でその理由について「横綱としてやってはいけないことを自分がやってしまった」と話した。

イエレン議長、最後の証言

日馬富士の引退会見から約10時間後、イエレンFRB議長は米上下院合同経済委員会で証言と質疑応答に臨んだ。任期を来年2/3とするイエレン議長の最後の証言であり、それは引退を控えての土俵入りにも映る。

イエレン証言で筆者が注視したのは一点。それは前日、次期議長に指名されたパウエルFRB理事が、議会上院の公聴会でトランプ・税制改革について言及を避けたのに対し、イエレン議長は踏み込んで警告を発した点である。

米連邦政府の債務残高が20兆ドル(約2200兆円)を超えようとしているという事実に対して、イエレン議長は「It‘sthetypeofthing thatshouldkeeppeopleawakeatnight,“(人々が夜間に目を覚まさなければならないようなものだ」と指摘。米議会、特に共和党主導での税制改革・減税審議に対して「やってはいけないことをやっている」と批判した格好だ。直近では、12/8に米債務上限(デットシーリング)引き上げ期限を迎える。遅延や引き上げが無い場合、米政府機関の一部閉鎖やデフォルト(債務不履行)に繋がりかねない。

税制改革に市場は期待を抱きつつも、減税決定は財政赤字の拡大懸念に転化するジレンマを抱えている。この状況を鑑みれば、トランプ大統領が「大規模減税が国民へのクリスマスプレゼント」と税制改革法案の年内成立に意欲を表明していることに対し、民主党が駆け引きをする可能性があると筆者は読んでいる。それは、暫定予算に協力することで政府機関の閉鎖を回避させ、その見返りに税制改革法案の中身を譲歩するよう、共和党に迫る可能性だ。結局は、ドル高抑制要因となってしまうのではないか。

12/4週ドル円

中期トレンドでは20日線が90・200日線に対しデッドクロス形成を推考させる恐れや週足一目均衡表雲上限112.309留意。上値焦点は11/20-21、12/1高値圏112.70-72-73、日足雲上限(113.134-113.381)、11/15高値113.51。超えれば11/14高値113.92、11/9高値114.08意識。下値焦点は200日線維持、11/30安値111.725、11/29安値111.375。下抜けた際は11/27-28安値圏110.925-825、日足雲下限110.89が実質の最終橋頭堡。

武部力也の週間為替相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト