「人生で最高の1年!!」。ウォール街で開かれたクリスマスパーティーで、あるディーラーが満面の笑みを浮かべて今年を振り返った言葉だ。人生で最高の1年……確かに、リーマンショック後の入社組みはバブルを経験したことがない。彼らにとって人生最高の1年に続く2018年はどのような年になるのだろうか? ウォール街の主な見通しが出揃ったので紹介しよう。

2018年末のS&P500の価格見通しは?

米国株,見通し
(画像=Thinkstock/GettyImages)

まず、CNBCがまとめたウォール街の2018年末のS&P500の価格見通し(12月21日)のうち、主要行の見通しを「高い順に並べる」と次のようになる。

JP モルガン       3000
クレディ・スイス    3000
ゴールドマン・サックス 2850
ドイツ銀行       2850
シティ・グループ    2800
モルガン・スタンレー  2750
ウェルズ・ファーゴ   2700

22日に減税法案が成立したことから、これから上方修正される可能性は残るものの、ほとんどの予想は法案の成立を織り込んでいる。上記7行の平均値は2850で、12月22日時点の2683と比べ6.2%高となっている。同様に、ブルームバーグが21日までにまとめた予想の平均値も2838で6%高となっているので、この辺りがコンセンサスと見て間違いなさそうだ。

減税、規制緩和、適温経済の三拍子が支援材料

米株価に対して最も強気なのがJPモルガンとクレディ・スイスでともに2018年末のS&P500を3000と見込んでいる。

JPモルガンとクレディ・スイスの見解はほとんど同じであり、ともに税制改革と規制緩和、理想的な経済環境が株価を著しく押し上げるとみている。法人税の引き下げや規制緩和で企業の収益率が大きく上昇するほか、活発な消費と低いインフレ率という適温経済が続く中、金利が低い水準にとどまることで、家計や企業は借り入れを一段と増やすことがまだ可能と考えている。

JPモルガンやクレディ・スイスの見通しに特に目新しいところがあるわけではなく、ゴールドマン・サックスやシティ・グループよりも強気なのは減税や規制緩和が株価に与えるインパクトの違いとなる。

ゴールドマンは「根拠ある熱狂」を主張

最高値の更新が続く米株式市場に対しては「バブル」ではないかとの懸念も少なくないが、ゴールドマン・サックスはこうした味方を一蹴し、現在の株高を「根拠ある熱狂」であると主張している。

これは、グリーンスパン元FRB(米連邦準備制度理事会)議長が1996年に強気相場に対して「根拠なき熱狂」と警告したにも関わらず、結局のところ2000年まで上昇し続けたことになぞっている。現在の株価と1990年代後半の株価のチャートを重ね、もし現在の株価がバブルであるなら、S&P500は2020年までに5300と現在の2倍になる計算だと揶揄している。

ゴールドマン・サックスはその「根拠」として、米国と世界経済はどちらもトレンドを上回る成長が見込まれていること、金利は緩やかに上昇しているものの、絶対値での水準は過去に比べると著しく低いこと、そして法人税の引き下げで企業利益が高まることの3つを挙げている。

また、ドイツ銀行も「高い利益率と低金利を踏まえると、株価のバリュエーションが高過ぎるとはいえない」と指摘している。さらにシティ・グループは12月20日、減税法案の成立を見込んでS&P500の2018年末の予想をそれまでの2650から2800へと150ポイント引き上げている。

ウェルズ・ファーゴが弱気な理由

もちろん、米株価に対し慎重な見方もある。ウェルズ・ファーゴはその代表だ。今年9月時点でウェルズ・ファーゴは4%から8%の調整が訪れると予想していたが、残念ながら年末まで訪れることはなかった。弱気に見える見通しもこの延長線上にある。

ウェルズ・ファーゴは上昇局面が終わるとは考えておらず、ただ上昇スピードが速すぎることから目先的には調整局面を警戒すべきだと警告しているのだ。減税に対する期待で株価が上昇してきた経緯を踏まえると、減税法案の成立をきっかけとして株価の調整が訪れるリスクが高いことを心配している。

モルガン・スタンレーも同様に循環的な要因から慎重になっている。2018年に景気後退が起こるとは考えていないが、景気の拡大が10年目を迎えること、また2019年の企業利益見通しが冴えず、減益になる恐れすらあることから、株価の調整は2018年内に始まるだろうと指摘している。

より具体的には、S&P500は2750で頭打ちとなり、ピークは年前半に訪れるだろうと述べている。2017年はボラティリティが消滅した1年となったが2018年には復活すると予想。その理由としてFRBの利上げとECB(欧州中央銀行)のテーパリングによる金利上昇を挙げている。金利の上昇が社債市場を揺さぶり、その影響で2018年中に少なくとも1回は10%かそれ以上の株価の下落があっても不思議ではないと警鐘を鳴らしている。

2018年はブラックスワンは?

最後に頭の体操として、サクソバンクがリストアップした2018年のブラックスワン(※可能性はごくわずかだが「起きたら大変な」イベント!)のうち日本の投資家の関心が高そうなものをピックアップしておく。

・日銀が金融政策を制御できなくなり、ドル円は1ドル=150円まで急騰した後、100円まで急落。
・ボラティリティの急上昇でS&P500が「フラッシュ・クラッシュ」に見舞われ、25%の急落。
・米中間選挙での有権者からの財政拡大要求により、米30年債利回りが5%を突破。
・政府による規制でビットコインから投資家が逃げ出し、価格は1000ドルへ。

2018年が ZUU online の読者にとって素晴らしい一年となりますように。(NY在住ジャーナリスト スーザン・グリーン)