人手不足の日本では、省力化投資の設備導入の動きは継続

17日に内閣府が「機械受注統計」を発表するが、今回の統計では、10月が5%増という高い伸びを記録したことから、その反動減で若干の減少が予想されている。

しかし基本的には、機械受注が強いトレンドを保っていくだろうと予想されている。

その背景としては、日本は人手不足で、省力化投資の設備を導入する動きがずっと続いているからだ。

設備投資で生産性向上・賃上げ実現の企業には助成金を検討

こういったことを後押しするために、厚生労働省が主に中小企業を対象に、「設備投資」をして「生産性」が上がり「賃上げ」をするという動きがみられた企業に対して、助成金を払うということを検討している。

これは経済の観点から、設備投資をしたり、生産性が高まったり、その先に賃上げがあるとすると、非常に良い回転のように思える。

しかし、生産性を高めるために設備投資をするということは企業や社会にとってはプラスなのだが、そこで働いている従業員にとって、生産性が上がって自分の給料が増えるというのは、従業員だけが得をしていないだろうか。

ロボットやAIの導入で、人間はどれだけ関与できるか

それはシステムや機械の導入によっての「生産性向上」であって、そこに、どれだけ「人間」が関与できるのかというのがポイントとなる。

今は、機械が単独で動くというよりは、人がシステムや機械を使って生産性を上げている。だから生産性が上がった分を賃上げで還元してもらうというのは理に適っている。

しかし将来的には、ロボットやAIがどんどん進化して、人間を介在しないで企業が生産性を上げていった場合、そこで働く人々は、本当に賃上げという形で生産性向上という恩恵にあずかれるのだろうか。

それは不透明なところがある。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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