昨日の海外時間には、EUが公表した英離脱協定案をメイ英首相が「動意する英首相など存在しない」としたことからポンド売りが強まりました。一方NYダウが続落して円買いも強まりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

昨日EUが公表した英離脱協定書案では、イギリスとEUの間で関税協定が合意されない場合、北アイルランドをイギリスとは分けて現在と同様にEUの関税同盟に残す可能性が示されました。この措置は、経済的に北アイルランドをイギリスから分離してEUの支配下に置くようなもので、イギリスとしては到底容認できるものではありません。しかしイギリスのEU離脱期限まであとわずか13ヶ月と迫っている現状で、双方(あるいは北アイルランドを含め3者)が納得できるような協定を結ぶことは困難と見られていて、EUが強硬な態度を示した以上、混乱が続く可能性が高いと考えられます。

ポンド円で大きな値幅を狙う

EUによる英離脱協定案の発表で、ポンド売りが強まると予想して、ポンド円で149.40円付近で戻り売りをしたいと考えていましたが、戻りは149円付近までと限定的なものとなりました。その後欧州時間に下落を始めて、22日の安値を割り込んできたことから148.50円でポンド売り円買いのポジションを作りました。現在は148円乗せに損切りラインを置いています。利益確定は柔軟にしたいですが、142円程度までは待ちたいと考えています。

昨日の海外市場動向

欧州時間序盤、全般的にドル買いが優勢となって、ドル円は107.20円台まで上昇し、ユーロドルは1.2190台まで下落しました。その後EUが英離脱の協定草案を公表すると、メイ英首相が「(このような内容の協定書に)動意する英首相など存在しない」と述べたことからポンドが急落しました。

NY時間にはいって、発表された米経済指標結果は強弱まちまちでしたが、NYダウが下落を始めるとリスク回避の動きで円買い、ドル買いが優勢となって、ドル円は106.50円台まで、ユーロドルは1.2180台まで、ユーロ円は130.10円付近まで下落しました。

今日の予定

今日の海外時間には、ユーロ圏・2月製造業PMI(確報値)、英・2月製造業PMI、ユーロ圏・1月失業率、米・1月個人所得/個人支出、米・新規失業保険申請件数、米・1月PCEコア・デフレータ、米・2月ISM製造業景況指数、米・1月建設支出の発表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp