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(写真=PIXTA)

本州のほぼ中央に位置し、飛騨高山や下呂温泉、鵜飼などで全国的に知られる岐阜。日本文化が根付いた土地柄から、観光地としても日本内外から多くの関心を集めています。今回はそんな岐阜が誇る、海外からも評価が高い逸品を紹介します。

良質な土と優れた技術から発展を続ける美濃焼

古墳時代より土器に使用されるほど良質な土が採れていた岐阜。ここの焼き物として有名なのが美濃焼です。美濃焼は多治見・土岐・瑞浪といった地域で焼かれた陶磁器のことで、5世紀前半、つまり今から1600年ほど前に朝鮮半島から日本に伝来した技術がルーツとなっています。美濃の焼き物は時代とともに変化を経て、桃山時代に茶道が流行したことから全国的に知られることとなりました。それに伴い、貴族や寺院が使用するものから、庶民にも広く親しまれるものとなったのです。

現代では美しく高品質な美術品として海外でも高い評価を得ており、その技術は6人もの人間国宝を生み出しました。少し近寄りがたい印象もある美濃焼ですが、多治見市の美濃焼ミュージアムでは美濃焼の歴史や美しい焼き物を身近に感じられる展示のほか、人間国宝をはじめとした作家の美濃焼で抹茶を楽しめる催しなどユニークな企画も行われています。

おみやげに大人気の食品サンプル

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(写真=PIXTA)

近年のインバウンド増加でも注目されている日本の技術のひとつが、食品サンプルです。昔ながらの喫茶店や大衆中華料理店などで見かける、本物そっくりの食材や料理を模した樹脂製のサンプルは、実は岐阜が生産量日本一。初期はロウから作られており、耐久性・丈夫さから現在のビニール樹脂製へと変化した食品サンプル。おいしい本物の食品に見せるために、型作りから型抜き、着色、筆による細かい色付けなど、何段階もの工程を経てできあがります。

郡上八幡エリアには食品サンプルの工房が集まっており、食品サンプルが職人たちの手作業で作られている様子を見学できるだけではなく、オムライスやデコスイーツなど、本物そっくりの食品サンプル作り体験も可能です。思い出作りとして、おみやげとして、親子連れや観光客から人気の高いツアーとなっています。

“刃物の3S”とは?知る人ぞ知る岐阜の刃物

自然に恵まれた関市は「刃物のまち」という愛称を持っています。この地に刀の原料として最適な焼刃土を見出した刀匠が刀剣鍛冶を始めたのが鎌倉時代のこと。以降、質が高い関市の刀は多くの人を虜にしました。近代では生活に欠かせない包丁なども作られるようになり、爪切りや髭剃りといった身近な小物も抜群の切れ味とデザイン性で高く評価されています。

ドイツ・ゾーリンゲン、イギリス・シェフィールドと並び“刃物の3S”として知られる関市では、刃物にまつわる行事も行われています。毎年10月に開催される「刃物祭り」は、全国の刃物関係業者が集まる一大イベントです。さまざまな刃物を購入できるほか、珍しい古式日本刀鍛錬の見学もできるとあって、毎回たくさんの観光客が集まります。

さらに、鬼気迫る刀匠たちの初打ちが見られる正月2日の古式日本刀鍛錬打ち初め式、毎年11月8日「いい刃の日」の刃物供養祭といった、刃物のまちならではの行事が開催されています。現在では約4割が海外に輸出される刃物のトップブランドとなった今も、関市の刃物は地元でも愛され続けているのです。

他にも木材資源が豊富なことから和紙や家具、木升なども盛んに生産されてきた岐阜。ものづくりの地として、日本のみならず世界をも虜にする技術を有しています。歴史に裏打ちされた品質の高さと、時代によって変化し続けた柔軟さが持ち味の岐阜の逸品に、ぜひ触れてみてはいかがでしょうか。(提供: JIMOTOZINE)