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(写真=PIXTA)

観光客に人気の鎌倉や海軍で町おこしを続ける横須賀をはじめ、海に山、豊かな自然に恵まれた三浦半島。三崎漁港のマグロや牧場で大切に育てられる葉山牛といったグルメ食材も全国的なブランドです。都心へのアクセスが良いため、観光だけではなく東京のベッドタウンとしても栄えてきました。

そんな三浦半島の将来に危機が迫りつつあります。神奈川県内はもとより全国的に見ても人口減少と高齢化問題が加速しているエリアなのです。そして、観光資源や大自然の未来を見据えた一大プロジェクトが立ち上がりました。それが「三浦半島魅力最大化プロジェクト」です。

半島全体で取り組む地域活性化プロジェクトとは

このプロジェクトは人口減少に歯止めをかけ、高齢化を食い止めるため、半島全体の魅力をもっと掘り起こそうとスタートしました。三浦半島魅力最大化プロジェクトを立ち上げたのは横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町の4市1町です。

三浦半島は東京や横浜からのアクセスも抜群で鎌倉や横須賀をはじめ海や山に恵まれており観光資源が点在するエリアです。マグロで有名な三崎のほかにもすべての市町に漁港があり、海の駅も賑わっています。マリンスポーツのメッカであるとともに、山がちな地形のため自然豊かな公園やハイキングコースも容易に利用できます。

ただ、三浦半島は山や丘の多い地形のため農水産業以外の大きな産業がないこと、平野が少ないため人口増加が見込めないことなどから、急速な過疎化と地場産業の停滞化が進行しています。三浦半島の素晴らしい魅力を生かしながら、人口を増やすアプローチはないか。半島全体を挙げての取り組みがこのプロジェクトです。

「観光」とともに「くらし」にスポットを当てる

三浦半島魅力最大化プロジェクトの大きな特色は、観光だけではなく「半島で暮らす」魅力をどう引き出すかにあります。観光やグルメを再発見して情報発信することにより、観光客を取り込むことは確かに大切です。ですが、それでは半島が抱える人口減少と高齢化の根本的な解決にはつながりません。

そこでプロジェクトは、大きく2つの取り組みに分けて立案されていました。まず、海に食、地域そのものの資源を生かして「観光の魅力」を高めること。そして、働きやすく住みやすい地域を作るために「半島で暮らす」魅力を高めることです。それぞれ具体的な取り組みをみていきましょう。

海・食・地域の魅力を再発信

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(写真=PIXTA)

観光面では海の魅力を生かしたマリンスポーツや漁港を中心とした観光アクティビティの活性化を行っています。三浦半島は鎌倉や葉山、逗子といった古くからヨットやサーフィンなどマリンスポーツが盛んな地域を持ち、保養地としても知名度があります。そこで、単なる観光で終わらず、マリンアクティビティも楽しんでもらえる情報発信をしています。

食の魅力アップのため「三浦半島はイタリア半島プロジェクト グルメスタンプラリー」といったユニークな取り組みも始まりました。三浦半島の食材を使う参加レストランでは市町別でリゾット、パスタ、フリット、ピザの4つのプロジェクトフードを設定。それぞれのお店で趣向を凝らしたイタリアンを味わってスタンプを集めると抽選でクルージングランチや三浦ブランドのグルメが味わえます。

また、「自転車半島宣言」を三浦半島全体で取り組むことでサイクリストを呼び込んだり、レンタサイクルを整備したりして海や山を気軽に楽しんでもらう運動もスタートしています。

働きやすく暮らしやすい半島を目指して

“ちょこっと田舎”ならではの環境の良さと、都会へのアクセスが良好な三浦半島。観光地だけではなく、暮らす場所として認識してもらう働きかけが始まっています。

都心のベッドタウン化を再び推進しつつ、三浦半島で働きながら暮らすため農業の活性化や産業振興を目指しています。三崎マグロや葉山牛、三浦ダイコンのように全国ブランドになっていることや、首都圏への重要な生鮮野菜の供給地である強みなど、農家にとって暮らしやすい環境が整っています。

また、マリンスポーツやアウトドアアクティビティも気軽に楽しめるので、田舎暮らしに憧れる若者の移住促進にも積極的です。平日は都会で働き、週末は三浦半島の豊かな自然でリフレッシュ。このエリアだからこそできる新しいライフスタイルを提案していきます。

このプロジェクトで、観光地としての輝きを取り戻すことはもちろん、仕事や遊びを含め三浦半島ならではのライフスタイルが広がって、地域に賑わいを生み出すきっかけになることが期待されています。(提供:JIMOTOZINE)