本日朝方、コーン米国家経済会議(NEC)委員長が辞任するとの報道が流れ、一時リスク回避の円買いが優勢の展開となりました。前日には、ライアン米下院議長がトランプ米大統領の輸入関税導入に反対する姿勢を示し、パーデュー上院議員(共和党)らも関税案に対して反対している事が明らかとなっていたこともあり、同様の見解を持っていたコーン氏の辞任は保護主義姿勢の強まりが懸念されます。ただ、北朝鮮情勢が雪解けムードでセンチメントが改善しつつあり、積極的なリスク回避の動きというのは限定的になりそうなため、基本的にはドル円を中心としたクロス円は下値は限定的になるのではないでしょうか。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

北朝鮮と韓国の首脳会談が4月に行われるとの報道が流れると、前日の欧州株式市場への影響は限定的となりましたが、NY市場から徐々にリスクオンの動きが強まっています。ただ、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)が報じたところによると、「コーンNEC委員長の後任としてパズダー氏が検討されている」と迅速な対応が取られていることなどもあり、コーン氏辞任の影響は限定的になる可能性があります。

本日の朝方のリスク回避の動きの背景には、「米国、中国からの輸入や企業買収の幅広い制限を検討へ」との報道も影響しているものと考えられ、コーン氏の辞任の影響をどの程度緩和できるのかが、今後の最大のポイントとして捉えられそうです。朝鮮情勢雪解けムードという非常に好意的な材料が出てきていることから、米国の保護主義姿勢の緩和をマーケットが察知すれば、自ずとクロス円は買い戻されていくのではないでしょうか。

ドル円の買いポジションは保持

本日の朝方にサプライズで下落したドル円ですが、直近の安値を下抜けるには至っておらず、まだまだ押し目買い意欲は強いものと考えられます。ドル円105.90円での買いポジションですが、損切りラインを105.20円下抜けに設定し、利食いに関しては108円手前である107.80円程度を想定します。

昨日の海外市場動向

昨日の海外時間には、米・1月耐久財受注(確報値)、米・1月製造業受注(前月比)などの経済指標が発表されたものの、ほぼ市場コンセンサス通りの内容だったこともあり、影響は限定的となりました。

韓国の北朝鮮への特使が「北朝鮮は体制の安全が保障されるなら非核化にオープン」と発言し、、トランプ米大統領も「北朝鮮との対話で進展の可能性みられる。北朝鮮は前向きに行動しているように見える。世界にとってもすばらしいことだ」と評価したことから、リスク回避の動きが小休止しました。

今日の予定

今日の海外時間には、米・2月ADP民間雇用者数、米・1月貿易収支、米・ベージュブック(地区連銀経済報告)の発表があるほか、トルコ中銀(TCMB)、加中銀(BOC)の政策金利発表、ダドリー・米NY連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp