日経平均予想レンジ21,270~21,968円
今週は米2月雇用統計を受けた米国株高の流れを引き継ぎ、4日続伸となったものの、米国務長官更迭や関税を巡る懸念に加え、国内では財務省の決裁文書書換え問題も重しとなった。日経平均は週初に21,971円高値に進んだあと、21,555円まで売り込まれ週末は21,676円で終了した。
海外の焦点
9日発表の米2月雇用統計は前月比31.3万人増と市場予想の20万人増を大幅に上回った。平均時給は26.75ドルと前年同月比2.6%増にとどまったため過度なインフレに対する懸念は後退した。パウエルFRB議長にとって20-21日のFOMCは初の会合となる。焦点は先行きの利上げペースだが、2018年は年3回の追加利上げを基本シナリオとしているが、パウエル氏は議会証言で「段階的な利上げが最善」だと表明。
「物価が上向くとの確信をやや深めている」と指摘しており、市場では年4回に利上げペースが加速するとの見方が広がっている。ただ年2%もの利上げをすれば米経済は景気後退に陥りかねないとの警戒感も強いだけに、FRB新体制の政策運営には注目が集まる。13日、トランプ大統領はティラーソン国務長官を解任し、ポンペオ中央情報局(CIA)長官を後任に充てると発表。コーンNEC委員長に続く高官の離任で政権運営に対する不安定化が懸念されている。
国内の焦点
28日は配当権利落ち日となる。企業の3月期末配当に関連し、指数連動型のパッシブ系運用資金による配当再投資の買いが過去最大規模になるとの観測が出ている。配当権利付き最終日の27日と翌28日の落ち日には約5,000億円超規模の買いが見込まれている。配当再投資は日経平均連動型で約1,100億円、TOPIX連動型で約3,600億円、JPX日経400で約350億円に上る。例年3月最終週の信託銀行の買いが拡大しているだけに注目される。
テクニカル面では5日線が25日線を上抜いたゴールデンクロス形成(3/14)は短期的な買いシグナルと位置付けられる。3/5安値から下値を切り上げており上値を試す展開も想定される。ただ直近では2/27高値22,502円から3/5安値20,937円のフィボナッチ比率61.8%戻しの21,904円に到達したことで上昇一服も指摘される。目先的には下値支持線の25日線を明確に割り込むと200日線の21,270円が下値目処として意識される。一方、上値では節目の22,000円を上抜くには市場エネルギーの拡大が不可欠となる。
来週の株式相場
以上、来週はトランプ政権の保護主義姿勢の加速化や国内政治など不透明要因を抱える中、3月期末配当権利取り狙いが支えとなり、地道に足元を固める展開と捉えている。日経平均のレンジは上値は3/13終値21,968円が意識され、下値は200日線21,270円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト