このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。

2018年3月22日(木)Market TalkのSummary

米国の輸入制限に端を発する貿易戦争により、世界規模で景気が後退し、株価低迷が長期化する恐れが生じていると思います

確かにそうなりそうなリスクはあるが、誰もそのような状況を望んではいないので、おそらくそのようなことにはならないだろう。鉄鋼、アルミはアメリカの貿易量に占める割合が非常に小さく、ましてや日本にとっても今回の輸入制限が日本経済や企業に直接大々的にヒットするということにはならない。このような鉄鋼、アルミなどのハードな部分よりも、特許などの知的財産の争いが米中など世界的に起きていて、モノの貿易の規制ではなくソフト面での規制、例えばEUが独自のデータ規制などで動き始めているが、こういったところでビジネスがストップしてしまうのが本当の痛手になると思う。

安倍政権の支持率は下がり、日経平均3万円は安部失脚リスクが今後ある以上難しいのでは?

日本の企業はそれなりに頑張ってこれからも利益を稼いでいくし、純資産も積みあがっていく、株価は底値にあるので、もうそんなには下がらないと思う。ただ安倍政権が終わるリスクが出てきたのは事実だ。結局アベノミクス相場とはなんだったのかというと官製相場ということだ。つまりアベノミクスのおかげで株が上がったということである。日本企業が利益を稼いだというのもあるが、それだけでは外国人には買ってもらえない。日本企業の構造改革のために、コーポレートガバナンス、スチュワードシップコードのお膳立てや整備を安倍政権がやって、外国人に株を買ってもらえるようにした、NY証券取引所で安倍首相が「バイ・マイ・アベノミクス」とスピーチをした、財務官僚もアメリカのヘッジファンドを回ってアベノミクスの説明をした - これが官製相場というもので、GPIFや日銀がETFを買うから、ではない。企業価値、株主価値という意識がなかった日本企業を変えて、経済の底入れも図り、日本株に投資できる環境を整えてきた。その政権が倒れるようなことになると、そういう意味で相場は終わりだということになる。相場の一番大きい軸が欠けてしまったら脆弱な相場になってしまうだろう。ただ株は企業が利益を稼いでいる以上上がっていくものだ。安倍政権が倒れたとしても、株が上がらないというわけではない。

日本株の反転は何を切っ掛けにいつ頃になりますか?

4月の年度替わりのところで期待できるだろう。4月の外国人買い越しが17年連続で続いているといった季節要因もあり、これまでずっと売ってきた外国人がそろそろ買いに転じるのではないか。また日本の新年度ということで機関投資家の新たな資金配分もあるので、4月の年度替わりはひとつのタイミングになるだろう。4月は日本企業の3月の決算がまとまって業績への期待も高まるころだ。森友問題も4月あたりでいったん幕引きといった形になるのではないか。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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