日経平均予想レンジ20,363~21,301円
今週は報道各社の世論調査で安倍内閣の支持率が軒並み低下したことを受け、3日続落から日経平均は21,223円まで下落した。その後、FOMCの結果から安心感が広がり、21,500円台への反発を見せたものの米中が貿易戦争に突入するとの警戒感で週末には一時20,600円台を割り込んだ。
海外の焦点
注目のFOMCではFRBは政策金利を0.25%引き上げ、年1.5~1.75%にすることを決定。今年の利上げ回数は3回とした昨年12月時点の想定を据え置いた。前会合時に比べて年4回とする参加者数が増えたほか、来年の見通しも引き上げられたため、利上げペース加速への警戒感が広がっている。一方、トランプ大統領は22日、中国の知的財産権侵害をめぐり、中国からの輸入品に最大年600億ドル(約6.3兆円)規模の関税を適用するとの報道がなされ、貿易戦争への懸念が強まっている。これを受け、NYダウは節目の24,000ドルを割り込んだ。
国内の焦点
学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省決裁文書改ざんをめぐり、衆参両院の予算委員会は、27日佐川前国税庁長官の証人喚問を行う。記述の削除など何が目的だったのか、最終責任者は前国税庁長官なのか、政治家の指示があったのかといった点の解明を目指す。ただ、真相解明が進むのかどうかは見通せない。
1月下旬からの株価下落に伴って上昇した配当利回りはその後の株価の戻りは鈍く高止まりしている。東証1部の予想平均利回り(加重平均)1.97%(3/22)と2%前後で推移。10年債利回り0.030%との利回り格差は1.94%ポイントまで開き、利回り面から見た株式の投資魅力が高まっている。だが、米保護主義への警戒や国内政治問題、円高などの警戒材料が重なり、足元の市場では好利回り銘柄を物色する動きは限定的となっている。
2019年3月期業績見通しの不透明感なども投資手控えにつながっていると思われる。しかし、企業業績の拡大と株主還元姿勢の高まりによって配当金水準は高まっており、中長期スタンスでは投資魅力は十分あると捉えている。
テクニカル面では、5日、25日線がデッドクロスした上、市場心理の強弱感の分かれ目となる200日線を下回った。日足チャートは2/27の戻り高値22,502円のあと上値を切り下げ、三角持ち合いの形状を強めていたが下放れたことで目先的な焦点はここで踏み止るのか、下値模索から10/2窓埋め20,363円に向うのかにある。
来週の株式相場
以上、来週は米国の保護主義政策や国内政治情勢への警戒感が強まる中、企業業績面での割安感を背景に底値固め局面となろう。日経平均のレンジは上値は200日線21,301円が意識され、下値は窓埋め20,363円が目処となる。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト