昨日の海外時間には、中国が米に対する報復措置として同規模の追加関税を発表したことから、リスク回避の動きが強まってドル円が急落しました。しかし米中双方の高官が交渉の可能性を示唆したことで懸念がやや沈静化したことと、発表された米経済指標が予想を上回ったことからリスク回避が後退して円売りが強まりました。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

一旦後退した米中の貿易摩擦に対する懸念が、昨日夕方中国が「相互課税」と呼ぶ対抗措置を発表したことから再び強まりました。しかし中国王商務次官が「対話がしたいなら、ドアは開いている」と述べたに続き、ロス米商務長官が「交渉による解決への扉は開かれている」と述べたことや、米ホワイトハウス当局者が「これ以上の中国に対する貿易を巡る措置は現時点では計画していない」としたことから懸念の高まりが一旦は収まりました。加えて発表された米経済指標が堅調な物だったこともあってリスク回避が後退し、米長期金利がと株式が上昇し、円が売られました。

米中の貿易摩擦に関する新たな動きが出なければ、一旦この問題の為替相場の材料としての重要性は低下したと考えられます。その為、今後のドル円は日経平均(含先物)が堅調に推移すれば107円台に乗せて一段高になると予想できます。

ドル円買いポジションを維持

昨日106.50円でドル買い円売りのポジションを作りました。中国の対抗措置報道で一旦106.20円で損切りましたが、その後106.00円付近でダブルボトムとなったことを確認して再び106.20円台ポジションを作り直しました。現在は106.40円に損切りラインを設定して107円台後半での利食いを目指しています。

海外時間からの流れ

欧州時間序盤、中国が米に対する報復措置として「米製品106品目に対して25%の追加関税をかける」と発表したことから、貿易戦争の懸念で円買いとドル売りが強まって、ドル円は106.00円付近まで、ユーロ円は130.40円付近まで下落し、ユーロドルは1.2310台まで上昇しました。しかし米長期金利と各国株価が下げ止まるとドルと円の買いも収まり、ユーロドルは1.2270付近まで反落しました。その後ロス米商務長官が「交渉による解決への扉は開かれている」と述べたこともあって、ドル円は一旦もみ合いとなったあと買戻しが優勢となって、106.20円台まで反発しました。この間ユーロ円は130.20円台まで下落幅を拡大したあともみ合いとなりました。

NY時間にはいると、発表された米・3月ADP民間雇用者数、米・3月ISM非製造業景況指数が予想よりも良い結果だったことや、ブラード・セントルイス連銀総裁が「インフレに下押し圧力をかける追加利上げは必要ではない」と述べたことから米長期金利と各国株価が堅調に推移して、リスク回避の動きが後退し、円売りとドル売りが強まって、ドル円は106.60円台まで、ユーロ円は131.10円台まで、ユーロドルも1.2300台まで上昇しました。

NY時間午後になっても米長期金利と株式の上昇は続きドル買いが優勢となって、ドル円は106.80円台まで上昇幅を拡大し、ユーロドルは1.2270台まで反落しました。

東京時間にはいって、日経平均が堅調に推移していることから円売りが優勢となっています。

今日の予定

今日の海外時間には独・2月製造業受注、ユーロ圏・3月消費者物価指数、ユーロ圏・3月サービス業PMI(確報値)、英・3月サービス業PMI、ユーロ圏・2月小売売上高、ユーロ圏・2月生産者物価指数、米・2月貿易収支、米・新規失業保険申請件数の発表があるほか、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp