中国の携帯端末市場に異変が起こっている。2018年第1四半期、中国ブランドの携帯端末出荷量は、前年同期比28%もダウンした。そのうちスマホは26.1%のダウンだった。世界最大の中国市場はどうなってしまったのか。中国メーカーの今後はどうなるのだろうか。「経済観察網」「中国高新網」などさまざまなメディアが分析を加えている。
販売不振は上位メーカーに有利
4月上旬、中国信息(情報)通信院は「2018年3月国内手機(携帯)市場運行分析報告」を発表した。それによれば、2018年第1四半期、中国のスマホ出荷量は8137万台で、前年同期比26.1%のマイナスだった。そのうち国産ブランドは、7586万4000台、同27.9%のマイナスだった。
2017年、中国の携帯端末市場は水面下に沈んだ。年間出荷量は4億9100万台、前年比12.3%のマイナスだった。今年に入り、下げ幅は急拡大した。この30%近い数字は、誰の予想をも上回る衝撃的なレベルだった。
2017年、市場に投入された新製品は1054機種、前年比27.1%減少した。新製品発表会は、熱気を孕んでいたが、目を引く新機軸を欠き、市場は明らかに縮小傾向に転じてしまったのである。
こうした落ち込みは、上位ブランドへの集中を促す。3年前の2015年、ファーウェイのCEO余承東は、数年後に国内スマホメーカーは、三大グループに統合されるだろう、と述べている。しかしそれはまだ実現していない。
2017年のスマホシェアは、ファーウェイ19%、OPPO18%、VIVO17%、シャオミ12%、アップル11%の順である。これら5社のシェアは77%に及び、2016年から10%伸びた。彼ら“一線級”メーカーの最終決着はまだ先だろう。問題はその他の“二線級”メーカーたちだ。
瀕死の二線級メーカー
各メディア、二線級メーカーは瀕死の重傷という表現で内情を伝えている。
●金立 資金繰り悪化が報じられた
GIONEEというブランドを展開する深センのメーカー。最近のシェアは3%台である。昨年末から資金繰りの悪化が伝えられた。東莞市の工場では、従業員が撤収を始めている。金立の声明では、金立工業園内の一部従業員との労働契約を解除し、50%の従業員で生産を継続するという。董事会と経営陣は、立て直す自信はあり、もうしばらく時間の猶予が欲しいというスタンスだ。
●魅族 シェアは2%台
MEIZUというブランドを展開する広東省・珠海市のメーカー。最近のシェアは2%台である。魅族は2016年に5%、2017年には10%相当の人員整理を行っている。1000人規模の削減となった。専売店の閉店が続いている。
●酷派 最大株主が経営危機
Coolpadというブランドを展開する深センのメーカー。最近はシェアトップ10に入れず。インタ―ネット放送の「楽視」が単一の最大株主だが、その楽視の経営危機により、追加の債務を負うことになった。流動資産と流動負債圧縮の圧力はさらに強まっている。
一線級“我々の四社”
次に一線級メーカーの動きを見ていこう。某メディアは、ファーウェイ、OPPO、VIVO、シャオミのことを“我々の四社”と呼んでいる。
マーケットリサーチのドイツ「Gfk」は、現在のスマホメーカーの状況を、利益と配当の“真空期”であるという。5G、AI、ARなどの最新技術に対する立ち位置を探り、研究を深める時期であるという。四社の1つ、中国2位、世界4位のOPPOの取組みを見ていこう。
OPPOは2015年、5Gの研究グループを設立した。今では5Gを含むインターネット、端末、応用の各方面で、ニューヨーク大学、北京郵電大学など国内外の有名大学と共同研究を行っている。OPPOは、標準化プロジェクトの「3GPP」と最も交流の多い先端企業でもある。この他、自社の研究院の下に六大研究センターを持ち、あらゆる研究方向に対処している。全世界から優秀な人員を招聘し、不断に研究水準の向上を目指している。
さらに騰訊(テンセント)と組んで、ゲームアプリのグレードアップや開発にも取り組んでいる。二線級との差は明らかで、中国市場は近いうちに“我々の四社”に集約されそうだ。問題はその先である。アップルやサムスンとの戦いで何社生き残れるだろうか。今の“真空期”がその将来を決するのは間違いない。これは部品供給業にとっても同じでだろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)