日経平均予想レンジ21,485~22,068円
今週は米中間の貿易摩擦が懸念される中、中国の習近平国家主席の演説を受けて貿易摩擦が緩和に向うとの期待感から日経平均は3/13以来の高値水準21,933円まで買い進まれた。その後シリア情勢緊迫化を受けた不安定な米国株や円高傾向が重荷となりもみ合い相場から21,591円まで下押したが、週末は21,778円で終了した。
海外の焦点
トランプ大統領は中国からの輸入品に対する1,000億ドル規模の新たな追加関税を検討すると表明。これを受け中国商務省は1,000億ドルの課税リストが発表されれば直ちに強力な反撃に出ると宣言した。
ロス商務長官ら複数の米高官が回避の可能性を示唆したことから、貿易摩擦への懸念は後退していたが、両国が態度を硬化させたことで再燃してきた。こうした中、10日の習近平氏の演説は自動車などの輸入関税の削減や外国企業の出資比率制限の緩和など市場開放策を示し、交渉による解決の道筋を示したことで、米中の貿易摩擦をめぐり緩和に向うとの期待感から報復の応酬を警戒していた世界中の投資家の不安心理は和らいだ。
米ロの対立などでシリア情勢が緊迫化する中、トランプ政権の動向に相場が左右される展開が続いている。市場では週末から本格化する1-3月期決算発表に関心が移るところだが、米国の政権運営が不安定なため、米景気や企業決算が堅調でも政治リスクの影響は怠れないとの見方は強い。
国内の焦点
13日から米国が決算シーズンを迎える。今期純利益は19%増益が見込まれており企業業績に関心が向えば良好な地合が期待される。国内でも月末から決算発表が本格化するが、日経平均のEPSは1700円と過去最高水準にある。バリエーション面で割安感があり、決算シーズンに向けて見直し買いが期待できそうだ。12日発表の投資主体別売買動向で4月第一週外国人投資家が1,584億円買い越し、売りが峠を越えたことも追い風となろう。
テクニカル面では、25日と200日線を上抜けたことで、日経平均は21,700円付近のレンジ相場切り上げを模索する展開となる。短期的には4/3安値21,056円と4/10高値21,933円の半値押し水準21,495円を割り込むと25日線21,485円が待ち構えており、ここで下げ渋るかが焦点となる。上値は心理的節目の22,000円が抵抗線となり、2/28窓埋め22,068円が意識される。
来週の株式相場
以上、来週は不透明な内外環境が上値を抑える一方、来週以降の企業業績への期待感が下値を支える相場展開と捉えている。日経平均のレンジは上値は2/28窓埋め22,068円が意識され、下値は25日線21,485円が目処となる。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト