フェイスブック(Facebook)以来の大型上場として、2014年投資家だけでなく世界中の企業から注目を集めているアリババ・グループ・ホールディング(阿里巴巴集団 以下:アリババ)。しかし、日本法人はあるものの、いまいち日本に馴染みのない企業であることも事実です。実際、名前は知っているものの、利用したことがある方はあまりいらっしゃらないのでは。そこで今回は、同じく上場時に大きな話題となったフェイスブックとさまざまな点を比較しながら、アリババとはどういった企業なのかについて読み解いていきます。
上場時の企業価値
まずは投資家が最も注目する点、上場時の企業価値に焦点を当てます。2012年5月に上場を果たしたフェイスブックの時価総額は、最大で1,049億ドルとなり、当時のヒューレッド・パッカードやマクドナルドを上回る結果となりました。
しかし、上場初日こそ38ドルという公開価格で活発に取引されたものの、翌日からは大きく下落しました。フェイスブックのこうした動きを受けて、一時はIPO指数の月間パフォーマンスが、リーマン・ショック後最悪を記録したこともあるなど、上場後のフェイスブック株は、長く低迷した時期を過ごすことになりました。
一方、当時のフェイスブック以上の注目を集めていると言っても過言ではないアリババは、米証券取引委員会に対して、公開価格の仮条件が60から66ドル程度になると報告しました。仮条件に基づいた時価総額は、1,479億ドルから1,626億ドルに上ると見られています。IT企業の上場としては最大となり、米ウォルト・ディズニーの1,543億ドルやアマゾン・ドット・コム1,566億ドル(いずれも2014年8月末時点)と、同等の時価総額になることが予想されています。
しかしながら創業者馬雲(ジャック・マー)氏の権力の強さや企業統治の在り方や、今後の成長戦略などといった要因から、慎重な投資家も多いようで、フェイスブックほど大きな下落はないものの、先行きはトントン拍子というわけには行かないかもしれません。
ただ2014年9月現在、フェイスブックはIPOの失敗から見事立ち直り、同年7月には株価は75ドルを維持し、上場からわずか2年の間にアマゾンを上回る時価総額1,900億ドルとなりました。フェイスブックの好調ぶりが、テック関連株全体の底上げにもつながっていることから、アリババ株もある程度安定するかもしれません。いずれにせよ、フェイスブック同様長い目でアリババ株を見極めることが大切だと言えそうです。