シンカー:高齢化でも、失業率の低下とネットの資金需要の拡大の条件が揃うことにより、総賃金は拡大し、家計のファンダメンタルズは改善する。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

貨幣経済の拡大が強くなると、人口動態が悪化(推計定数がマイナス)しても、総賃金は拡大することができる。

総賃金を縮小から拡大に転じさせたことがアベノミクスの最大の成果である。

現在、その拡大が3%程度に向けて強くなろうとしている。

総賃金の拡大の牽引役が、雇用の増加から一人当たりの賃金の上昇へ変化し、家計がデフレ脱却と景気拡大を実感し始めるだろう。

高齢化が進行しても、企業と財政の資金を使う力(ネットの資金需要)が強くなると、総賃金が拡大、家計貯蓄率は上昇し、家計のファンダメンタルズが改善することができる。

総賃金(前年同期比%、4QMA)=-0.35+0.19 中小企業貸出態度DI(2四半期先行)-0.24 ネットの資金需要(トータルレバレッジ、GDP%)-0.44 総賃金の4四半期ラグ、R2= 0.80

図)総賃金と推計値

総賃金と推計値
(画像=日銀、内閣府、SG)

図)家計貯蓄率とネットの資金需要

家計貯蓄率とネットの資金需要
(画像=日銀、内閣府、総務省、SG)

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司