2018年5月31日11時過ぎに神田卓也さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)
現在の為替相場の傾向や相場観
現在のマーケットの焦点は、なんといってもイタリア情勢だ。昨日30日(水)は、イタリアで連立組閣を模索する動きが再開したことや、イタリアの国債入札に一定の需要がみられたことで、市場の不安が和らいだ。
イタリア政局に関しては、ポピュリズム政党の誕生が濃厚という状況が大きく変わったわけではないが、市場としては、おととい29日(火)の問答無用のユーロ売りという総悲観モードから、何かあったらユーロを売ってやろうという経過観察のモードに移行した感がある。
そうした中で、昨日30日(水)はユーロ/米ドルがおととい29日(火)の下げを上回る上げ幅となっており、さすがに違和感の強い戻し方となっているため、ユーロには反落余地がありそうだ。
現在の為替相場の戦略やスタンス
イタリアの問題の影に隠れてあまり目立たないものの、米中貿易摩擦も再び問題化しつつある。昨日30日(水)に、ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長は「我々と中国の間に存在するのが貿易戦争であることは明白だ」といった内容の発言をし、先日は、米政府が29日(火)に新たに関税賦課を計画しているとの報道もあった。それに対し、ウォールストリートジャーナルは6月2日(土)から開始予定の米中通商協議が中止になる可能性を報じた。
イタリア問題が落ち着くと、市場の関心が、米中の貿易摩擦に移行する可能性があるため要注意。米ドル/円に関しては、本日31日(木)は5月の月末最終日であり、明日6月1日(金)には米雇用統計を控えており、なおかつ現在の市場の関心はユーロに向いているという状況下の為、動意は限られそうだが、米中問題が尾を引いているだけに、米ドル/円の上値は重そうだ。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長上席研究員。1987年福岡大学法学部卒業後、第一証券(株)(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社)を経て、1991年(株)メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年7月(株)外為どっとコム総合研究所入社。
羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
「羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。