昨日の海外時間には、イタリアのコンテ新首相の所信表明演説を受けてユーロ売りが強まる場面もありましたが、ECBが6月の会合で資産買入れ終了時期を公表する可能性が示唆されたことから反発しました。
今後の見通し
昨日イタリアのコンテ新首相が所信表明演説を行いました。その中でコンテ氏は「緊縮でなく、経済の富を増やすことで公的債務を減らしたい」と述べ、歳出拡大で景気を刺激する方針を示し、公約である失業者らへの最低所得保障や大幅減税を実行する方針をはっきり示しました。こういった政策は、緊縮財政を求めるEUと対立するものと見られることからユーロが売られました。一方でECBが6月の会合で資産買入れの終了時期を公表する可能性が報じられると、一転してユーロ買いが強まりました。ECBが今後資産買入れの停止から、利上げの開始へという道筋をたどれば、長期的にはユーロ高となると予想していますが、イタリアの問題が足を引っ張る可能性があり、短期的にはその影響のほうが大きくなる可能性もあります。
109.60円のドル買いポジションを維持
金曜日に109.60円でドル買い円売りのポジションを作りました。引き続き109.30円に損切りラインを設定して110円台半ばでの利食いを目指しています。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、欧州株が寄付きから上昇したことから一旦ユーロ買いが優勢となって、ユーロドルは1.1710台まで、ユーロ円は128.60円台まで上昇しました。その後、イタリアのコンテ新首相が所信表明演説で「イタリア政府の政策は連?協定に基づく」などと述べるとユーロ売りが優勢となって、ユーロドルは1.1670台まで、ユーロ円は128.10円台まで下落しました。
NY時間にはいると、米長期金利が上昇してドル買いが強まって、ドル円は109.90円付近まで上昇し、ユーロドルは1.1650台まで下落しました。
NY時間午後には、ECBの政策当局者の話として「6月の会合で重要な議論をすることになると見込んでおり、資産買い入れを終了する時期を公表する可能性もある」と報じられたことからユーロ買いが強まって、ユーロドルは1.1730台まで、ユーロ円は128.60円付近まで上昇しました。一方、米長期金利が低下したことからドル円は109.40円台まで下落しています。NY時間引けにかけて米長期金利が反発すると円売りが優勢となって、ドル円は109.80円台まで上昇しました。
東京時間にはいって、日経平均が堅調に推移していることから円売りが優勢となっています。
今日の予定
今日の海外時間には米・4月貿易収支の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp