前日の海外時間では、ジョンソン英外相の辞任との報道により、ポンド軟調の動きが継続する結果となりました。デービス・前英EU離脱担当相から始まったブレグジット強硬派・英閣僚の離脱は最終的にジョンソン外相にまで及ぶという流れになりました。結果として、相次ぐ閣僚辞任にメイ英内閣への不透明感が高まり、ポンドは軟調に推移しポンド円は一時146.126円(当社レート)、ポンドドルでは1.31918ドル(当社レート)まで下落しました。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

ジョンソン英外相の辞任との報道が大きくクローズアップされていますが、ポンド同様に売られている通貨がトルコリラです。第2次エルドアン政権の閣僚が発表されましたが、財務相にエルドアン氏の娘婿アルバイラク・エネルギー天然資源相、国防相にアカル参謀総長など、エルドアン氏に近い人物を重要閣僚に起用しました。市場では、より一層エルドアン大統領の強硬策が強まるのではないかとの思惑もあり、24円台前半から半ばで推移していたトルコ円では23.30円台まで急落する結果となりました。ポンドとトルコリラ、どちらも政権不安による通貨売りとなっており、状況が大きく好転するには大きなハードルが待ち構えていることもあり、上記2通貨の上値は当面重くなるのではないでしょうか。

また、ドラギ・ECB総裁が議会証言にて「少なくとも2019年夏まで金利を据え置くと予想」などの見解を示したことでユーロを大きく買う材料も徐々に希薄になってきています。そうなると資金が向かう先はドルと円になるのですが、前日は西日本の大雨災害があっても日経平均株価が上昇し、NYダウも300ドルを超える上げ幅で終了していることを考えると、ドルについては強い地合いを維持しそうです。ただ、堅調な地合いを維持しつつもドル円は110円台~111円台のコアレンジに収束していることもあり、引き続き、ポンド中心のトレードに妙味がありそうです。

引き続き147円前半から半ばでポンド円の売りを待ちたい

前日は、147.30円のポンド円の売りに146.30円での利食いというトレードが綺麗に成立しました。株価上昇がサポートとなり、現在は147円台までポンド円は回復しています。ただ、英国の政権不安を考えると、積極的にポンドを買い進める可能性は低いと判断し、前日の高値付近である147.50円での戻り売りを本日の戦略といたします。損切りについては、148円を上抜ける水準である148.10円、利食いについては、前日同様に146.30円を想定しています。

海外時間からの流れ

前日の海外時間では、ユーロ、ポンド、トルコリラの下落が目立ったものの、ドル円については総じて堅調な推移となりました。背景には株価堅調が大名目としてあり、本日の日経平均も堅調に推移しています。ただ、プラスの影響を享受しているは今のところドル円のみであり、ゴトー日の本日も影響は限定的となっています。ある程度の買い戻しはありそうですが、基本的には戻り売り戦略が機能しそうです。

今日の予定

本日は英・5月鉱工業生産、英・5月貿易収支、英・統計局GDP月次推計発表、独・7月ZEW景況感調査など欧州時間に重要経済指標が集まっています。NY時間では、米・5月JOLT労働調査が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp