昨日の海外時間には、米金利が堅調に推移してドル買いが強まる場面もありましたが、トランプ大統領が「利上げをする度に、FRBは追加利上げを望んでおり、そうした状況をさほど喜ばしいとは感じていない」「(強いドルは)米国を不利な立場に置く」などと述べたことから米金利が低下する中ドルが急落しました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

トランプ大統領は、CNBCのインタビューでFRBによる利上げについて、経済を減速させる可能性があるとし「うれしくない(not thrilled)」と述べました。また為替レートに関して、ユーロや人民元の下落とドルの上昇に言及して「われわれが不利な立場に置かれると言わざるを得ない」としました。大統領がFRBの金融政策や為替レートに直接言及ことは非常にまれな事態です。ただ、トランプ大統領はこれまでも大統領としては異例の言動を行っていることから、今後も同様の発言があるかもしれません。ただ、金融政策に関してはトランプ大統領がFRBに対して介入をする可能性は非常に低いと考えられます。一方為替レートに関する発言にはそれなりに市場が反応する可能性もあるため今後も注意が必要です。

一旦買い戻したが再びドル円戻り売り

113.00円で作ったドル円のドル売りポジションは昨晩のトランプ大統領発言後に112円を割り込めなかったことから112.25円で買い戻しました。現在ポジションはありませんが、12.60円付近まで上昇した場合は再びドル売りのポジションを作ります。

海外時間からの流れ

欧州時間、東京時間から米金利が上昇していたことをうけてドル買いが優勢となりました。

NY時間序盤に発表された米新規失業保険申請件数が予想よりもいい結果だったこともあって、ドル円は113.10円台まで上昇し、ユーロドルは1.1570台まで下落しました。しかしその後米金利が低下を始めたことからドル売りが優勢となって、ドル円は112.80円付近まで下落し、ユーロドルは1.1620台まで反発しました。

NY時間午後、東京時間深夜2時過ぎにトランプ大統領が「利上げをする度に、FRBは追加利上げを望んでおり、そうした状況をさほど喜ばしいとは感じていない」「(強いドルは)米国を不利な立場に置く」などと述べたことから米金利が低下する中ドルが急落し、ドル円は112.00円台まで下落し、ユーロドルは1.1670台まで上昇しました。その後ホワイトハウスが「トランプ氏は米金融当局の決定に介入していない」「(トランプ大統領はFRBの)独立性を尊重」をしたことからドルの買い戻しが優勢となって、ドル円は112.50円台まで上昇し、ユーロドルは11630台まで下落しました。

東京時間にはいって、日経平均が堅調に取引を開始したことから円売りが強まる場面もありましたが、取引開始から人民元が約13か月ぶりの水準まで売られたことを受けて、NYダウ、日経平均が急落したことから円買いが強まっています。

今日の予定

今日の海外時間には、独・6月生産者物価指数、ユーロ圏・5月経常収支の発表があるほか、ブラード・セントルイス連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp