昨日の海外時間には、EUのBrexit主席交渉官が「(英国に対しEUは)域外のどの国とも結んだことがないようなパートナーシップを提案する用意がある」と述べたことからポンドが急騰する中、リスク選好の動きで円売りとドル売りが強まりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

昨日は、EUのBrexit担当バルニエ首席交渉官が、ドイツのマース外相と会談した後にベルリンで、EUを離脱するイギリスと「他のどの第三国とも交わしたことがないような相互関係を英国に提供する用意がある」と述べました。関係には外交・安全保障のほか経済関係を含む可能性があると述べたことから、ポンドが急騰し、ポンドドル、ポンド円とも8月初めの水準まで反発しました。また、トランプ大統領が「アメリカとカナダのNAFTA再交渉が順調に進んでいる」として、週内に合意する可能性があるとの見方を示したことも手伝って、リスク選好の動きが強まったことから円売り、ドル売りの動きが強まり、円が全面安となりました。

市場は貿易協議やBrexit問題に関して非常に楽観的な見方をしていることから、引き続きリスク選好の動きで、クロス円の上昇が継続すると考えられますが、一方で過度に楽観的になっている可能性もあることから、ストップロスの管理が大切です。

ユーロ円で買いポジション

8月半ばからすでに5円以上上昇したユーロ円ですが、昨日の上昇で代表的なチャートである一目均衡表の三役好転(転換線>基準線、価格>抵抗帯(雲)、遅行スパン>ローソク足)の配置となったことから130.75円でユーロ買い、円売りのポジションを作りました。損切りラインを130.45円においています。

海外時間からの流れ

欧州時間、一部で「イタリア政府が新たな国債購入プログラムをECBに要請する可能性がある」と報られたことからユーロ売りが優勢となって、ユーロドルは1.1650台まで、ユーロ円は129.50円台まで下落しました。この間ドル円は111.20円付近のもみ合いが続きました。

NY時間にはいると、発表された米・第2四半期GDP(改定値)が上方改定されたことから米長期金利が上昇を始め、円売りが優勢となって、ドル円は111.40円台まで、ユーロ円は130.00円台まで上昇しました。その後バルニエEU首席交渉官(Brexit担当)が「(英国に対しEUは)域外のどの国とも結んだことがないようなパートナーシップを提案する用意がある」と述べるとポンドが急騰、ポンドドルは1.2860台から1.3000台まで、ポンド円は143.30円台から145.50円台まで上昇しました。この間リスク選好の動きで円売りとドル売りが強まって、ドル円は111.80円台まで、ユーロ円は130.80円台まで、ユーロドルは1.1700台まで上昇しました。

NY時間午後にドイツ外務省が「EUを離脱する英国に特別な規則は設けず」と報じましたが、相場に与えた影響は限定的なもので、ポンドドルを含め各通貨ペアとももみ合いが続きました。

東京時間にはいってからは、日経平均が序盤の上昇幅を縮小していますが、ドル円は堅調に推移しています。

今日の予定

今日の海外時間には、独・8月雇用統計、ユーロ圏・8月業況判断指数、独・8月消費者物価指数、米・7月個人所得/個人支出、米・7月PCEコア・デフレータ、米・新規失業保険申請件数の発表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp