中間管理職に向いているのは「中間子」!?
他者の性格を知るうえで、ヒントになるのが「きょうだい型」(兄弟姉妹の中で何番目の子供か)である。「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」と言われ続けて責任感を身につける長子、兄姉を見て要領よく育つ末っ子、そんな上と下に挟まれる中間子、マイペースな一人っ子……。生まれ育った環境は少なからず人格形成に影響するはず。ベストセラー『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』著者の五百田達成氏に、その性格分析とつきあい方についてうかがった。(取材・構成=内埜さくら)
【長子】たとえるなら、「A型のライオン」
◆長子の基本的性格
家族内でつねにトップに君臨してきた「王様」「王女様」。周囲の顔色を読む経験を積んでいないので、おおむね鷹揚でボーッとしている。自負心と自尊心が強く、人に任せられない性分で、人を支配しコントロールしようとする傾向がある。幼い頃から弟妹の面倒を見ていた経験上、大人になってからも責任感と面倒見の良さは抜群。生真面目で仕事を抱え込む一方で何事にもかかわりたがる。怒るときの口癖は「その話、聞いてないけど!」。
◆長子が抱えやすい悩み
・人に任せられず、仕事もストレスも抱え込む
・責任感が強すぎて「大きなお世話」と思われてしまうことがある
・人のミスやクオリティの低さが許せず、相手をコントロールしたがる
◆長子にはこう接する
面倒見がよく仕切りたがるが相手からのお礼がないと途端に態度が豹変。「一体どういうことなのか」と怒りを表明させないよう、上下関係を重視して「親しき仲にも礼儀あり」で礼節を尽くすこと。きょうだいのリーダーとして振る舞ってきているので、美しい日本語で責任感とプライドをくすぐる言葉がけも基本対応とする。誇り高い長子はいじられるのも苦手。親愛の情を示したつもりでも「バカにしているのか」と不機嫌になりかねない。
◆長子にはこのひと言が効く!
褒めるとき……「ありがとう」
叱るとき……「しっかりしなさい」
謝るとき……「反省しています」
頼むとき……「頼りにしてます」
【末子】たとえるなら、「O型の犬」
◆末子の基本的性格
家族みんなに愛されてきた「アイドル」的存在。サービス精神と社交性にあふれ、いつもピリピリしている長子を「大変そう」と横目に見ながら、楽しい毎日を謳歌しようとする吟遊詩人ともいえる。兄姉という「前例」をお手本に楽に生きる術を身につけているため、要領が人一倍よく器用。何に対しても無駄を嫌い損得を計算するため、作業効率の悪い仕事を嫌う。面倒事は親や兄姉が処理してきたので「誰かがなんとかしてくれる」という他力本願が信条。
◆末子が抱えやすい悩み
・責任を背負いたくないので、管理職にはなりたくない
・効率主義のため、古いしきたりや不合理な慣習が苦手
・兄姉というお手本を見て育っているため、前例がない仕事を嫌う
◆末子にはこう接する
楽しいことが大好きな圧倒的平和主義者なので、ノリよく明るく楽しく接することを心がける。末子のもう一つの行動理念が「損得勘定」。仕事に対価という「ご褒美」を求めるため残業代や食事など、目に見える交換条件をちらつかせて現実的に交渉すると、スムーズに仕事を進めてくれる。決断や責任が大の苦手なので、部下なら「やり方は任せた」と言うよりも、具体的に指示をするほうが動きやすい。上司が末子の場合は、逆に指示を出すつもりでいろいろお願いしてみると良い。
◆末子にはこのひと言が効く!
褒めるとき……「すごい!」
叱るとき……「次から気をつけて」
謝るとき……「代わりに○○させて」
頼むとき……「これが終われば○○だよ」
【中間子】たとえるなら、「AB型のカメレオン」
◆中間子の基本的性格
末子という立場を奪われ自分のキャラクターを模索してきた「永遠の思春期」。まるで十代の中高生のように他人が自分をどう思っているかを気にし、周囲の人間関係も気にする。親の「愛情のエアポケット」に陥りがちだった反動で、目立ちたがり屋の側面も持つ。反面、パワーバランスや相手の気持ちまで配慮できる優れたバランス感覚の持ち主で「人づき合いのエキスパート」。交渉上手なため、中間管理職などの調整役としても高い手腕を発揮。
◆中間子が抱えやすい悩み
・人の顔色を伺うため、ストレスを溜めやすい
・歩調を合わせたいので、和を乱す人に対しては不満を持つ
・いつも自分だけ損をしている、という被害者意識が募りやすい
◆中間子にはこう接する
空気を読むのが得意な気配りの人であると同時に、人間関係を大切にする人情家でもあるため、義理人情に重きを置いた言葉がけを意識すると良い。事実ベースを突きつけるのではなく、エモーショナルに伝えること。承認欲求が強く自分への注目を求める傾向を把握し、持ち上げておだてて褒めそやし、オンリーワンの存在だとアピールすることが鉄則だ。尊重されたらされた分だけ相手を大事にする義理堅い一面を発揮し、交渉の達人として強力な味方になるだろう。
◆中間子にはこのひと言が効く!
褒めるとき……「うらやましい」
叱るとき……「もっとできるはず」
謝るとき……「嫌な思いをさせてごめん」
頼むとき……「あなたしかいない」
【一人っ子】たとえるなら、「B型の猫」
◆一人っ子の基本的性格
世間の常識にとらわれず独自のルールで行動する「帰国子女」。揺るぎない親の愛情を受けているので自己肯定感の強さは最強で、とてつもない素直さとマイペースぶりはワンアンドオンリーの存在だからこそ培われたと言える。親の理解も財布も独り占めして育ったため、自分の興味関心には忠実に没頭。きょうだいゲンカを経験しないまま大人になったため人との距離の取り方が独特で、人間関係オンチでもある。特に同年代との人間関係構築を不得手とする。
◆一人っ子が抱えやすい悩み
・一人でコツコツと仕事を進めたいため組織に絡め取られたくない
・人づき合いが苦手で人間関係の空気の読み方に興味を持てない
・相手の細かな感情やニュアンスをつかめずトラブルを招きがち
◆一人っ子にはこう接する
親という大人とじっくり関係を育んできた一人っ子は、マンツーマンの関係にめっぽう強く、信頼した相手とは親密なコミュニケーションを図る。対して、それ以外の他人に対しては極めてドライ。物事を深読みせずストレートに受け取り、持って回った言い方を嫌うため、感情を込めずビジネスライクに伝えるのが一番良い。素直でまっすぐな性格で「言わないとわからないけれど、言えばわかってくれる」が基本。察してもらおうとせず説明を。
◆一人っ子にはこのひと言が効く
褒めるとき……「さすが!」
叱るとき……「何がダメだったと思う?」
謝るとき……「本当にごめん」
頼むとき……「やり方は任せるよ」
五百田達成(いおた たつなり)作家・心理カウンセラー
1973年生まれ。東京都出身。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、2007年に独立。著書にシリーズ30万部超えの『察しない男 説明しない女』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。米国CCE,Inc.認定GCDFキャリアカウンセラー。(『The 21 online』2018年4月号より)
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