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漠然としたお金の不安を抱えている方は多いと思います。ですが、とにかく「お金を貯めなきゃ」とやみくもに節約や投資をしても不安は解消されません。まず何にどれくらい必要かを見積もったうえで、俯瞰して対策を立てていきましょう。

そもそも人生で最もお金がかかることが何かご存じでしょうか。実は金融広報中央委員会が金融リテラシーに関する調査で、「人生の三大費用」について聞いています。「人生の三大費用」についてご存じでない方は以下のどれだと思われますか?

(1) 生涯の生活費、子どもの教育費、医療費
(2) 住宅購入費、子どもの教育費、老後の生活費
(3) 住宅購入費、医療費、親の介護費

正解は(2)の「住宅購入費」「子どもの教育費」「老後の生活費」です。それぞれ積み重なると、とても大きな支出になりますね。

子育て中の世帯では、家を買おう(買った)という時期。子育てや住宅にお金がかかってくるタイミングで、老後の対策もしておく必要があるので、「人生の三大費用」が重くのしかかります。まずそれぞれにどのくらいの費用がかかるのか、見積もっておけば、将来を見越して手を打ちやすくなるでしょう。

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まずは「見積もり」――いつまでにいくらかかるのか。

住宅購入費については、総予算と住宅ローンの借入額・返済額と頭金の目安を知ることです。そのうち気になるのはやはり毎月の返済額だと思いますが、返済額は目安として世帯収入の20~25%程度といわれます。身の丈にあった暮らしを、と考えたときに無理なく返済していくための目安程度として覚えておいてください。頭金と呼ばれる自己資金は多ければ多いほど良いですが、購入金額の20~30%くらいを目安に準備しておくと良いでしょう。現在かかっている家賃を含む住宅費用も参考に、生活を変えずに返していける金額を想定してみましょう。

子どもの教育費ですが、幼稚園から高校まですべて公立で大学が私立の場合はおよそ700万円〜1000万円、幼稚園からすべて私立に通った場合の総額は1600万円〜2200万円です(2016年度の子供の学習費調査による)。幅があるのは習い事や塾の費用があるためですが、これらを鑑みると、学校に払わない教育費についても意識を向けておく必要がありますね。

最後は老後の生活費。定年後、夫婦ふたりでの生活費は月額で平均22万円、ゆとりある生活をするには34.9万円と言われています(2016年度の生活保障に関する調査より)。そのベースとなる公的年金は、共働き世帯で月額30万円、専業主婦世帯で26万円です(2016年度年金制度基礎調査より)。子育て世代が老後を迎える20~30年後にこの額が受け取れるかどうかは分からないため、別の手段で備えておくと良いでしょう。

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次に「可視化」――三大費用にかける金額を決めましょう

こうしてかかる費用を次に可視化しましょう。「我が家の未来年表」という形で、子どもの入学や卒業、住宅の購入などの家族のライフイベントと、その時期、おおよそいくらかかるのかが分かるようにしたものを作成し、今から老後までの「キャッシュフロー表」として活用し、詳細な費用や収入を可視化してしまいます。

なぜこのような表にするかというと、いつ何があるのか予定を目に見える形にしておくことで、何をすべきかが分かり、漠然とした不安を取り除けるからです。たとえば子供の頃、夏休みの計画表をつくったのではないでしょうか。社会人になってからも、複数の人が関わるプロジェクトではスケジュール表をつくって可視化したと思います。それと同じものを、我が家の将来のためにつくるのです。

いつ、何に、いくらかかるのかが分かれば、いくら貯める必要があるのかも分かります。夫婦で、場合によっては子供も含めて、明るい未来を想像し、それぞれの目標を共有しながら、楽しんでつくることがポイントです。

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そして「家計の見直しと投資」――三大費用それぞれに向いた貯め方

このように予定を可視化したら、まずは家計の収支を洗い出し、余分な出費がないかを確認しましょう。特に毎月必ず出て行く固定費(光熱費やスマホ通信費など)の見直しからするとよいでしょう。

そのうえで、三大費用それぞれに向いた貯め方、お金の増やし方を考えていきます。まず住宅費用については、一定額まで非課税枠があり給与天引きができる財形住宅貯蓄の利用や、贈与税がかからずに親から住宅資金の援助が受けられる制度を使うのも良いでしょう。 その他、住宅ローン減税や登録免許税の軽減など、住宅購入に関する税制優遇もあるため、知っておくと有効です。

教育費用は、15歳までもらえる子ども手当を貯蓄などに回し、不足分を学資保険やつみたてNISAなどで積み立てるという手があります。

老後費用については、長期、積立、分散のメリットを活かしながら非課税のメリットが利用できるiDeCo(イデコ)やつみたてNISAを活用しましょう。

何となく「お金を貯めたい」ではなく、「いつまでにいくら必要」と具体的に意識して、目的を持って家計管理をすることは、漠然とした不安の解消につながります。「家族の未来年表」をつくりながら、自分たちらしい目標、ライフスタイルの実現に向けて踏み出しましょう。

文・高村 浩子(ファイナンシャル・プランナー)

(提供:のくらし