子供の教育費は、どんなコースに進ませるかで大きく異なる。すべて公立かそれとも私立か。途中から私立、海外進学という道もある。資金をつぎ込み過ぎて教育費貧乏とならないためにも、それぞれのコースでどのくらいの金額となるのかを見積もり、家計と相談しながら子供の進路を検討したい(記事内の金額はすべて概算)。
高校卒業までの学習費はオール私立がオール公立の3.28倍
まずは幼稚園から高校卒業までの教育費をみていこう。
文部科学省の2016年度の学費に関する調査をみると、公立学校に通うのと私立学校に通うのとでは、家庭から支出する学習費総額には大きな差があることが分かる。
15年間の学習費総額 塾や習い事などの学校外活動費含めると
すべて公立の場合……540.0万円
高校だけ私立の場合……715.9万円
すべて私立の場合……1,769.9万円
すべて公立とすべて私立では、金額にして1,200万円以上の差、比率にすると3.28倍もの違いがある。
この調査では授業料などの「学校教育費」と「学校給食費」に加え、塾や習い事などの「学校外活動費」を含んでいる。子供の教育費を考える場合、学校以外にかかる学習費には注意が必要だ。特に公立の小学校と中学校に通う家庭では学校外活動費の構成比が高く、教育費のうち60%以上を塾や習い事の費用が占める。
4年間の大学費用は国立で約553万円、私立理系で約807万円
大学も国公立か私立か、文系か理系かで学費が大きく変わる。入学費用と在学費用に分けて解説しよう(日本政策金融公庫の平成29年度「教育費負担の実態調査結果」より)。
大学入学費用 受験のための交通費や入学しなかった学校への納付金も
国公立大学……69.2万円
私立文系大学……92.9万円
私立大学理系……87.0万円
入学費用には受験料や受験のための交通費などの「受験費用」、入学金や寄附金などの「学校納付金」、入学しなかった学校への納付金が含まれる。単純に入学金だけなら30~50万円といったところだが、それだけで済まないのが大学入学費用の怖いところだ。
大学在学費用 私立医歯系はケタ違い
国公立大学 108.5万円(4年間で434.0万円)
私立文系大学 161.3万円(4年間で645.2万円)
私立大学理系 180.2万円(4年間で720.8万円)
在学費用とは大学在籍中の授業料、通学費、教科書代などのことだ。塾の月謝や習い事なども入るが、比率は高校までに比べて非常に低い。1年間の在学費用は理系が高め。国公立は文系と理系で学費の差はないが、私立大学理系の在学費用は国公立大学のおよそ1.7倍だ。なお、下宿や1人暮らしをしている場合の仕送り代は含まれていない。
ここには記していないが、私立の医歯系科は金額が一気にはね上がる。授業料だけなら国公が4年間で215万円ほどだが、私立医歯系は6年で2,000万円をゆうに超える。
もし海外の大学に留学するなら?
大学から海外進学をするとなると、費用はどのくらいかかるのだろうか。
アメリカの例を紹介する(2016年12月「ベネッセ教育情報サイト」より)。日本からアメリカの大学に進学する場合、4年制大学に入学するケースと、公立2年制大学(コミュニティカレッジ)にいったん入学してから4年制大学の3年次に編入するケースがあるが、一般的には後者が多い。
その場合、5ヵ月間の語学学校の費用、コミュニティカレッジ9ヵ月間の費用合わせて3万4,400ドル程度、1ドル133円換算で約389万円となる。さらに4年制大学は州立の場合、年額2万ドルほど、私立の場合は年額3万ドルほどかかるので、2年間で5万ドルと仮定すると565万円、合計954万円が必要というわけだ。これは移動費や住居費を除いた金額だ。
高校卒業後海外進学する場合の費用 合計954万円(移動費・住居費除く)
語学学校費用……約1万4,000ドル(158万2,000円)
コミュニティカレッジ費用…… 約2万400ドル(230万5,200円)
4年制大学編入後2年間の学費……約5万ドル(565万円)
選択次第で教育費は150万円にも3,000万円にも
幼稚園から高校まで公立で大学には進学せず、習い事を一切しなければ学費は145万円で済むが、すべて私立で大学も理系なら費用は2,577万円だ。遠方で仕送りが必要なら、仕送り代の1ヵ月の平均が7万円であることを考えると、4年間の総額が3,000万円を超えてもおかしくない。
すべて公立の高卒(習い事なし)……145万円
すべて公立の高卒(習い事あり)……540万円
すべて公立の大卒 ……1,043万円
大学だけ私立(文系)……1,278万円
大学だけ私立(理系)……1,348万円
すべて私立の大卒(文系)……2,508万円
すべて私立の大卒(理系)……2,577万円
大学から海外進学 ……3,000万円超?
教育費はコースによって大きく異なる。また子供にかかる費用は、学費だけではなく食費や被服代もかかることも忘れないようにしよう。「教育は未来への投資」と青天井に資金をつぎ込む家庭があるが、特に補助的な学校外学習は家計と相談しながら選んでいきたい。
文・篠田わかな(フリーライター・ファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES
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