タイムリミットがあるほうが、勉強ははかどる!

超・効率勉強法,吉田穂波
(画像=The 21 online)

資格試験合格など、具体的に差し迫った目標がある場合、どのように時間を確保し、効率的に勉強を進めるかがカギとなる。つい「時間がない」と言い訳してしまいがちだが、意外とスキマ時間を見落としていないだろうか。「まとまった時間はなくても、細切れの時間を集めればいい」と話すのは、医師で子育てもしながらハーバード公衆衛生大学院留学を叶えた吉田穂波氏。スキマ時間をフル活用した勉強法についてうかがった。《取材・構成=前田はるみ、写真撮影=まるやゆういち》

まとまった時間より、スキマ時間の積み重ね

忙しいビジネスマンが、まとまった勉強時間を確保することは難しい。だが、5分くらいの時間なら、1日のあちこちに見つけられるのではないだろうか。ネットサーフィンに興じてしまう時間や、会議前の待ち時間……。これらのスキマ時間を集めて勉強時間に充て、仕事と育児、家事を両立させながら、半年でハーバード公衆衛生大学院への留学を成し遂げた人がいる。医師であり、現在、5児の母でもある吉田穂波氏だ。

「1日のうちで自分のためだけに使える時間はどこだろうと考えてみると、皆さんも意外に見つけられるのではないでしょうか。頭が自由に使える状態ならどこででも学べますので、通勤時間や家事の時間も、勉強時間に変わります。まとまって時間を取るより、むしろ短い時間のほうが集中力を高められるので、勉強の効率も上がるのです。5分もあれば問題集をサッと取り出し、何問か解くことができます。あるいは、最近覚えた単語を思い出したり、間違えた問題を反芻したりするだけでも、記憶の定着に効果があります」

中途半端に切り上げるとかえって見直したくなる

勉強効率を上げるには、1日の勉強を「時間」ではなく「量」のノルマで決めるのがコツだという。

「たとえば、試験までに1冊の問題集をやり終えるため、毎日4ページずつ問題を解くとします。1日に使える時間は限られているので、その時間内で終わらせると決めて取り組みます。時間が足りずに駆け足になったとしても、とにかく最後まで解いてみることを優先します。

急いだために間違いだらけでも構いません。なぜなら、解けた問題よりも、中途半端に終わってしまった問題のほうが気になって、『答えを確かめたい』という思いに駆られるからです。すると、電車が到着するまでの1~2分や、エスカレーターが終わるまでの少しの時間も見逃さず、答えや解説を見直そうとするでしょう。不完全燃焼感があればあるほど、スキマ時間があちこちから顔を出すのです」

超・効率勉強法,吉田穂波
(画像=The 21 online)

手ごたえを得るまで「1冊」を繰り返す

吉田氏は、問題集を1冊に絞り繰り返すことを勧める。資格試験なら、出題傾向に即して作られた公式問題集がお勧めだ。

「まずは最初から最後まで解いてみて、間違えた問題に×をつけておきます。2回目以降は×のついた問題だけを解き、×がなくなるまで繰り返します。数をこなすことで、解答への道筋を理解し、頭に刷り込んでいくのです。私の場合、最初は歯が立たなくても、同じ問題を繰り返すうちに解けるようになり、4回目でやっと自分のものになりました。この達成感も一冊をくり返すメリットです」

もし余裕があれば、何度も間違える問題を暗記ノートに転記し、記憶の定着を図る方法もあるが、必須ではないという。

「私は家事や育児の合間に勉強していたので、問題集1冊だけを使って1~2分で勉強が完結するシンプルさを優先させました。暗記ノートを作る時間があるなら、問題集そのものに書き込み見返す時間に充てた方が省エネにつながると思ったのです。皆さんも自分が続けられるやり方で取り組むことが一番です」

周りに宣言して巻き込みモチベーション維持!

勉強を続けるには、モチベーション維持も重要。吉田氏はどのようにモチベーションを保ち続けたのだろうか。

「なぜ勉強するのか、勉強したら自分や周りにどんないいことがあるのかを具体的にイメージし、ノートに書き出し、常に見返していました。たとえば、『自分が興味のある分野で生き生きと働くほうが、家族も幸せになれる』『資格を取ることでさらに知識や強みが増え、もっと組織に貢献する人になれる』など、自分だけでなく周りにとってのメリットも明確にすることで、職場や家族の理解も得やすくなります。

読者の皆さんにお伝えしたいのは、『学びたいと思うこと自体が尊く素晴らしい』ということです。自分の謙虚な姿勢や学びたい気持ちを肯定し、家族や職場の人たちに、自分が勉強を始めたことを隠さず、オープンにしてみてください。公言したからにはやり通そう、という心の支えになりますし、周囲の協力を得やすくなります」

目標を達成する人の勉強法4

1.早めの期日設定

資格試験を受けるなら、1年後や2年後といった余裕のある目標設定よりも、「ちょっと難しいかな」と思うくらいに前倒しして、半年後くらいの受験を目標にするのがよい。試験まで時間があればそのぶんダラダラ中だるみしてしまいがちだが、期間が短ければ、「それまでになんとかしなければ」という危機感と締め切り効果で集中力がアップすることは間違いない。

2.スケジューリング

限られた時間で勉強効率を上げるには、「毎日30分勉強する」と時間を指標にするのではなく、「毎日30問解く」のように量のノルマを設定するのが効果的。日によっては時間が足りなくても、とにかく最後まで解く。問題に触れるだけでも勉強になるし、「答えは何だったのだろう」という心残りが、ちょっとしたスキマ時間を見つけて、もう一度見直そうとするモチベーションにつながるのだ。

3.問題集の解き方

スキマ時間を活用するなら、問題集は1冊と決めて、それをとことん使い倒そう。最初から最後まで解くのは1回目だけ。間違った問題に大きく×や?などの印をつけ、2回目以降は間違えた問題だけを解き、印がなくなるまで繰り返す。同じ問題集を出来るまで解くことで、目に見える形でミスが減り、最終的にはすべて制覇したという達成感が得られる。また、問題集を1冊持ち歩けば良いので、スキマ時間に解きたい問題をすぐに見つけられ、時間を短縮できる。

4.覚え方

眺めているだけでは覚えられないという人は、「書いて覚える」「聞いて覚える」「声に出して覚える」など、五感を総動員した暗記法を試してみるのもお勧め。たとえば、覚えられない英単語をノートやタブレットに書き出すと、見て覚える視覚刺激に、「書く」という体感刺激が加わり、脳が活性化するという。また、英単語を声に出すと、その声を自分の耳で聞く聴覚刺激が加わり、さまざまな感覚を通じて記憶が定着する。

吉田穂波(よしだ・ほなみ)医師・医学博士
医師・医学博士・公衆衛生学修士。神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール設置準備担当教授。1998年より聖路加国際病院で臨床研修ののち、名古屋大学大学院で博士号取得。ドイツ、英国、日本での医療機関勤務を経て、2008年ハーバード公衆衛生大学院入学。卒業後、同大学院のリサーチ・フェローとなり、少子化研究に従事。東日本大震災では産婦人科医として妊産婦と乳幼児のケアを支援。17年より神奈川県技幹。「人生百歳時代」をどう生きるか、産官学、市町村等と連携し、社会人がヘルスケア分野とビジネス分野を学べる大学院「ヘルスイノベーション研究科(19年開校予定)」の立ち上げに携わる。(『The 21 online』2018年7月号より)

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