2016年9月、政府は少子高齢化に伴う労働人口の減少傾向に歯止めをかけるため、国内企業の業務形態を抜本的に見直す「働き方改革」を打ち出しました。この働き方改革の一環として、労働人口の増加に向けた「外国人材の受入制度」が創設され、2019年4月からの施行を目指しています。「特定技能」と呼ばれるこの制度は、いったいどのようなものなのでしょうか。本稿では外国人材の新しい在留資格である「特定技能」について解説します。

特定技能導入の背景

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(写真=zhu difeng/Shutterstock.com)

「特定技能」という在留資格が議論されている背景には、国内における深刻な人口減少とそれに伴う労働力の低下があります。みずほ総合研究所の発表によると、2016年時点での国内の労働力人口は6,648万人(労働力率60%)で、約50年後の2065年には4割減少して約4,000万人(同50%)になると試算されています。

この課題への対処の一つとして、2018年10月、法務省は「外国人材の受入制度」を発表しました。その背景は次の2点です。

①中小企業・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が生じているため、現行の専門的・技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性・技能を有する外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある。

② 真に受入れが必要と認められる人手不足の分野に着目し、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れるための新たな在留資格を創設する。 (法務省『新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設について』より引用)

では、この「特定技能」とは一体どのようなものなのでしょうか。

特定技能の種類と就労可能分野とは

特定技能は、「1号」と「2号」の2種類があり、就労分野は14業種に限られています。人手不足の単純労働分野においても、外国人労働者が就労できるようになるという側面もあります。

●特定技能の資格は2種類

特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、それぞれ就労できる業種や滞在期間などが異なっています。また種類に関わらず、大前提として「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を有することが基本」とされています。雇用形態は直接雇用となりますが、労働者の生活支援については受入れ機関や登録支援機関も、相談や苦情対応・情報提供などを行う予定です。

●就労できる分野は14業種

2018年11月現在、外国人材が就労できる分野は全部で14業種が挙げられています。①外食業 ②宿泊業 ③介護 ④ビルクリーニング ⑤農業 ⑥漁業 ⑦飲食料品製造業 ⑧素形材産業 ⑨産業機械製造業 ⑩電子・電気機器関連産業 ⑪建設業 ⑫造船・舶用工業 ⑬自動車整備業 ⑭航空業となっており、必要に応じて拡大される見込みもあるとされています。

特定技能「1号」「2号」の違い

特定技能の「1号」と「2号」は大きく就労条件が異なります。以下にその違いについて説明します。

●特定技能1号

特定技能1号は、業務や生活に支障なく日本語を話すことができ、また即戦力となる経験を有している外国人が対象となります。特定技能1号は在留期間が最長でも5年間となっており、家族を帯同することができません。1号の場合、全14業種のうち、いくつかの分野には就労できない可能性が高く、それがどの業種になるかについては2018年11月現在、法務省などの関係各所で検討中です。

●特定技能2号

特定技能2号は、1号の要件に加えて専門的な業務に熟練した外国人を対象としています。また、2号となるには所管省庁が定める一定の試験に合格することなどが必要です。2号に合格すると、全14業種のすべての分野に就労できるようになります。また、在留期間においては永住権を取得することも可能となり、家族の帯同もできるようになります。

現状ではさまざまな課題も

特定技能については、現状で検討すべき点が多々あります。現在、外国人向けの技能実習が施行されていますが、すでに技能実習生の失踪など深刻な問題が起こっています。また逆に、雇用者側が技能実習生に対して低賃金やパワハラ・セクハラなどで苦しめているケースも多々見受けられるのが実情です。

管理体制や受入れ体制をはじめ、まだまだ克服しなければならない問題点が多くあるため、適宜修正が行われる可能性は十二分にあるといえるでしょう。今後、外国人労働者が増えていくと予想されるため、経営者にとっても、特定技能をめぐる制度の推移については常に注視しておきたいところです。(提供:みらい経営者 ONLINE


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