大学評価機関Quacquarelli Symonds(QS)が毎年発表しているアジア大学ランキングの2019年版で、シンガポール国立大学がアジアトップを獲得した。日本勢は東京大学が前回の13位から2つ順位を上げ11位に入り、京都大学も前回17位から14位に順位を上げた。ではその他の日本の大学の順位はどうだっただろうか。

トップ10は中国・香港勢が存在感を示す

ランキング,大学,まとめ
(画像=arek_malang/Shutterstock.com)

昨年のアジア大学ランキングではシンガポールの大学が1位、2位といった結果だったが、2019年度版ランキングでは2位に香港大学がランクイン。結果としてトップ10に香港3校、中国3校がランクインし、中国・香港勢が存在感を示した結果となった。その他トップ10には韓国2校がランクインしたが、残念ながら日本の大学は昨年同様1校もなかった。

2019年版QSアジア大学ランキング

順位(前回順位)大学名(国・地域)
10位(11位) ソウル大学校(韓国)
9位(10位)香港中文大学(香港)
8位(4位) 韓国科学技術院(韓国)
7位(3位)香港科技大学(香港)
6位(7位)復旦大学(中国)
5位(9位)北京大学(中国)
4位(6位)清華大学(中国)
3位(1位)南洋理工大学(シンガポール)
2位(5位)香港大学(香港)
1位(2位)シンガポール国立大学(シンガポール)

日本はトップ200に29校がランクイン

日本の大学では、東京大学が昨年13位から順位を2つ上げ11位にランクイン。続いて京都大学が14位、以下大阪大学16位、東京工業大学18位、東北大学23位、名古屋大学26位、北海道大学29位、九州大学30位とアジアトップ30に8校がランクインした。アジア200位以内には早稲田大学や慶応義塾大学など29校が入った。

2019年版QSアジア大学ランキング(日本国内ベスト30)

順位 アジアでの順位(前回)大学名
30位 201位(161位)徳島大学
29位 170位(168位)新潟大学
28位 165位(119位)上智大学
27位 163位(170位)立命館大学
26位 161位(143位)横浜国立大学
25位 160位(140位)大阪府立大学
24位 148位(137位)大阪市立大学
23位 141位(135位)熊本大学
22位 140位(150位)長崎大学
21位 133位(123位)東京理科大学

20位 132位(120位)岡山大学
19位 128位(122位)金沢大学
18位 121位(116位)東京農工大学
17位 116位(148位)首都大学東京
16位 110位(98位)千葉大学
15位 102位(85位)東京医科歯科大学
14位 77位(67位)一橋大学
13位 70位(68位)広島大学
12位 59位(60位)神戸大学
11位 46位(40位)筑波大学

10位 42位(36位)慶應義塾大学
9位 36位(39位)早稲田大学
8位 30位(29位)九州大学
7位 29位(31位)北海道大学
6位 26位(27位)名古屋大学
5位 23位(20位)東北大学
4位 18位(14位)東京工業大学
3位 16位(15位)大阪大学
2位 14位(17位)京都大学
1位 11位(13位)東京大学

今回のランキングでは国内最高位の東京大学がアジア11位という結果であり、アジアでの日本の大学の存在感が薄い。しかし東京大学のスコアを正確に見てみると、Academic Reputation(学術的な評判)指標において100/100の満点を獲得。Employer Reputation(雇用者からの評判)も99.5/100などと多くの項目で高得点を獲得している。ただし、International Students(留学生比率)は25.5/100と低く、International Faculty(外国人教員比率)に至っては12.3/100とロースコアであり、総合評価においてこれら国際性に関係したスコアが大きく影響している。

今回アジア1位に輝いたシンガポール国立大学は総合的にどの分野もスコアが高く、東京大学でロースコアだったInternational Students(留学生比率)では100/100と満点を獲得している。残念ながら東京大学以外の日本の大学の多くも、留学生比率や外国人教員比率などの国際性の評価でロースコアの傾向がある。今回のランキングは、島国という特徴がある日本の大学ならではの国際性の乏しさが如実に表れた。しかし今後日本の大学でも、国際性という弱点を克服すれば、ランクアップが期待できる結果でもあった。

文・右田創一朗(元証券マンのフリーライター)/MONEY TIMES

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