英語は4技能のうち、まずはどれか一つに集中すべき

英語勉強法
(画像=THE21オンライン)

ビジネスマンに必要な資格やスキルというと、多くの人が思い浮かべる英語。とくに今、英語教育の早期化によって「若者が当たり前に英語を話せる時代が来る」とも言われ、焦りを感じてあれこれ手をつけてしまう読者の方も多いかもしれない。しかし、「もし今から英語をやり直すなら、絞り込むべき」と話すのは人気英語講師の関正生氏。英語が好きでなくても続けられる、その方法論について詳しくうかがった。《取材・構成=塚田有香》

他に武器があれば、英語は切り捨ててもいい

最初に断っておくと、私はすべての人が英語を学ぶ必要はないと考えています。あなたが英語に代わる武器を持っているなら、それを磨くことに集中して欲しいからです。そして英語が必要な場面では通訳を雇えばいい。自分にできないことは、できる人に外注すれば済む話です。

なぜなら、英語を身につけるのは簡単ではなく、相応の時間と気力とお金を費やすことになるからです。「英語が武器です」と言えるレベルになるには、少なくともTOEICで850点から900点を目指す必要があります。それを実現するために余暇や睡眠時間といった何かを捨てる覚悟があるのか、今一度ご自分に問いかけてください。その結果得られるものが、果たしてそのコストに見合うのか。英語ができなくても食べていける、評価される自信があれば、英語の勉強に使う時間を別のことに充てるべきではないでしょうか。

そもそも「英語ができたらいいな」という程度の動機では、学習は長続きしません。英語を身につけるには、「義務ベース(=やらなくてはいけない)」のモチベーションが、「願望ベース(=やってみたい)」のモチベーションを上回る必要があります。「TOEICで700点取らないと昇進できない」という状況があり、かつ本人が昇進を望むなら、「義務」>「願望」なので必死に勉強するでしょう。裏を返せば、それくらい強いモチベーションがなければ英語は身につかないということです。

多忙なビジネスマンの学習には「絞り込み」が不可欠!

それをよく考えたうえで、「やはり自分は英語を勉強しなくてはならない」と腹をくくったら、まずやって欲しいのが勉強する「分野」と「技能」を絞ることです。

仕事が忙しいビジネスマンは、無駄なことに時間を割く余裕はありません。「自分にとって必要な英語」の範囲を徹底的に絞り込み、そこに集中するのが最も効率的です。

「分野」を絞るとは、要するに「自分が英語を必要とする具体的な場面」を明確にすることです。「仕事で英語を使う」と言っても、プレゼンで必要なのか、海外の工場視察で必要なのか、外国人上司との会話で必要なのかによって、学ぶべき英語の中身は大きく異なります。

加えて、自分が仕事で関わる業界や業種によっても学ぶ分野は絞り込めます。自動車メーカーに勤めているなら、当然ながら自動車関連の単語や例文を学ぶ必要があるでしょう。その場合、世間一般で売れている教材が役立つとは限りません。たとえば、あるベストセラーの英会話本には「僕たちの娘の進路はどうしよう?」という例文が載っていましたが、こんな会話をするのは国際結婚した人だけ。重要なのは、「やらなくていいこと」は徹底してやらないことだと心得てください。

もう一つの「技能」とは、いわゆる4技能と呼ばれる「読む」「聞く」「話す」「書く」です。このうち、自分が勉強するものを一つか二つに絞ってください。

もちろん、四つの技能を同時に伸ばしていければ理想的です。ただ、4技能を満遍なくマスターしようとすれば膨大な時間がかかり、なかなか結果が出ません。だから途中で心が折れて挫折してしまう。だったら4つの技能を25%ずつやるより、一つの技能に100%集中した方が成長の実感を得やすいし、短期間でスキルアップできるので、周囲からも「英語のプレゼンなら、あの人が一番だよね」などと評価されやすくなります。