JRや阪急、大阪メトロなど多くの路線が集まる関西最大の交通ターミナル、大阪・梅田。ホテルやオフィスビルに加えて商業施設も揃い、住みたい街ランキングでも常に上位であるこのエリアに、家族3人が住むマンションを購入するには世帯年収がいくら必要なのか。
大阪・梅田周辺の家族3人向けのマンションは6,000万円から
梅田駅周辺では、もともと貨物専用だった場所を「みどりの空間」をキーワードに、現在第2期の再開発が進んでいる。この付近のマンションは価格が上昇傾向にあり、販売価格がなかなか決定されない物件も多い。また100平方メートル超えの億ションも供給されているため、価格帯は広い。
家族3人で暮らすのに必要なリビング・ダイニングと主寝室、子供部屋を設けられる60~70平方メートル台のファミリー層向けの物件を見てみよう。
まず中古から。大手不動産・住宅サイトに掲載されている築浅の中古物件の価格を参考にすると、60平方メートル台なら4,000万円台のものもあるが、70平方メートル超えだと6,000万円近くになる。マンション価格は、広さだけでなく駅からの距離なども大きく影響するが、70平方メートル台の新築物件が約7,000万円弱だ。この地域で家族3人が暮らす新築マンションを購入するなら、6,000~7,000万円程度は見積もっておきたい。
6,000万円のマンションを購入するのに世帯年収680万円が必要
仮に6,000万円のマンションを購入するとして、必要な世帯年収を算出してみよう。
6,000万円をフラット35で全額借入した場合(返済35年、ボーナス払いなし、全期固定で金利1.89%)、月の返済額は19万6,000円。年間返済額235万2,000円が総返済負担率の基準35%(年収400万円以上)を満たすには、おおよそ年収680万円が必要ということになる。同じように7,000万円の新築マンションを購入する場合には、約780万円の年収が必要だ。
このように6,000万円のマンションを購入する場合、フラット35のシミュレーションで総返済額は8,207万円。利子が物件価格の1/3を超える約2,200万円となる。総返済額を減らしたいのであれば、月の返済額は多くなるが返済期間を短くしたり、現在はフラット35より金利が低い変動金利の住宅ローンを選択したりする方法もある。
住み、暮らしていくには世帯年収750万円〜950万円を確保したい
世帯年収が680万円確保できていて、6,000万円借りられたとしても、年収の3割以上を住宅ローンの返済に充てるのは「無理なく返済していける」とは言い難い。
総務省統計局の平成29年度の「家計調査報告」によると、年収680万円の人が属するクラスの月平均の消費支出は、住居費を除いて約28万円。年間で336万円の消費支出に、所得税や社会保険料の非消費支出が年間約104万円、そこに住宅ローンの返済235万円に固定資産税が42万円(建物の課税標準額が購入価格の約半分の3,000万円として算出)と積み上げていくと、712万円となる。
7,000万円の新築マンションの場合は、必要年収780万円の人が属するクラスの月の消費支出は34万円で、年間408万円。非消費支出は年138万円ほどで、固定資産税が49万円(課税標準額3,500万円として算出)。積み上げていくと、おおよそ900万円だ。
子供が成長すると教育費も増えていくので、その準備も必要だ。仮に大学4年間の学費約480万円(平成28年度学生生活調査 大学昼間部の平均から算出)を15年(3歳〜17歳)で準備していくと考えると、年間32万円は貯蓄したい。それも合わせると、大阪・梅田エリアでマンションを購入するなら、年収750万円〜950万円程度は必要だろう。
資産価値としても有望な梅田エリア
再開発計画が進み、大規模公園の整備や新産業創造の拠点として、新たな街へと生まれかわろうとしている梅田。既に多くの企業が集まっているため、職住近接のメリットもある。2025年には大阪万博開催が決定されるなど、資産価値という観点でも有望と言えるだろう。
話題のエリアだけに、物件が売り出されてもすぐに成約してしまうことも考えられる。梅田に家族で暮らすマンションの購入を考えている人は、こまめに物件情報などを確認することが必要だろう。
文・柴田千青(ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES
【関連記事 MONEY TIMES】
医療保険の「掛け捨て」と「積立」、40代はどっちを選ぶべき?
40代で「がん保険」は必要か?
40歳から効率的にお金を貯めるための6つのステップ
共働きの妻が産休・育休中でも夫の「配偶者控除」を受けられる 意外と知らない節税法
住宅ローンの金利上昇!変動から固定にすべき?契約・借り換えのタイミングは