まずは「介護職員初任者研修」で最低限の知識と技術を

福祉・介護の資格
(画像=THE21オンライン)

介護などの福祉サービスは、社会保障制度によって報酬が決められており、資格を取得したからといって、収入が増えることはほとんど期待できない。しかし、福祉は大きな「やりがい」を感じられる仕事である。定年退職後に、あるいは早期退職をして、福祉の資格を取る人も少なくないと、福祉の現場取材の経験が豊富な梅方氏は話す。

介護の資格は

福祉の仕事には、大きく分けて、「相談援助系」と「介護系」があります。相談援助(ソーシャルワーク)とは、なんらかの問題を抱える人の相談に乗って、解決の手助けをする仕事です。

また、福祉の対象には、高齢者だけでなく、子供や障害者、経済的に困っている人なども含まれます。

このように福祉の仕事は多岐にわたり、資格もさまざまありますが、ここでは高齢者の介護に絞ってお話ししましょう。

高齢者の介護は、勤務先によっては夜勤もあり、ある程度の体力が必要な仕事です。

しかし、より重要なのは、高齢者と話が合ったり、共感できたりすること。その点で、若い人よりも、人生経験を積んだ中高年のほうが、介護の仕事に向いているといえます。実際、介護の資格取得のために学校に通う中高年は少なくありません。定年退職後に通う人もいます。

また、ホテルやレストランなどの従業員、あるはタクシー運転手など、サービス業の人は、現職で介護の資格を活かせます。お客に高齢者が増えていくので、介護の知識があれば、よりお客に寄り添ったサービスができるからです。

働きながら取れる介護の資格とは?

介護の資格で最も有名なのは、ケアマネジャー(介護支援専門員)でしょう。都道府県知事の登録を受ける、公的な資格です。

しかし、これは受験資格を得るまでのハードルが高い。基本的に、介護福祉士、社会福祉士、看護師といった、福祉または医療に関する国家資格などを持ち、その業務に関して5年以上の実務経験があるか、または、5年以上の相談援助業務の経験があって、初めて受験資格を与えられます。

社会人が働きながら取れる資格としては、「介護職員初任者研修」があります。正確には資格ではなく研修ですが、これを修了すれば、最低限の知識と技術を身につけたと見なされるので、ある程度公的に認められた資格といっていいでしょう。

介護職員初任者研修は130時間ありますが、土日や夜間、一部通信の講座もあるので、働きながら受講できます。

さらに実務経験を3年以上積み、介護職員初任者研修を含めて450時間(6カ月)以上の「介護職員実務者研修」を受ければ、国家資格である介護福祉士の受験資格が得られます。

梅方久仁子(うめかた・くにこ)フリーライター
1959年、兵庫県生まれ。薬学部を卒業後、製薬会社勤務を経て、フリーライターに。医療、福祉、健康、ITなど、幅広い分野で活躍中。著書に『福祉・介護の資格と仕事 やりたい仕事がわかる本』(技術評論社)などがある。また、『介護福祉士まるごとガイド』『社会福祉士まるごとガイド』(ともにミネルヴァ書房)などの取材・執筆を担当。薬剤師、NR・サプリメントアドバイザー。(『THE21オンライン』2018年7月号より)

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