「天神ビッグバン」も刺激

福岡関連,天神ビッグバン
(画像=PIXTA)

福岡市が「スタートアップ企業の街」としての存在感を高めている。5月には、官民共同型の創業支援施設「フクオカグロースネクスト(FGN)」がリニューアル。中心街「天神地区」の再開発による盛り上がりも追い風に、関連銘柄を探る動きが加速しそうだ。

福岡市は2014年に国の「グローバル創業・雇用創出特区」に選ばれ、IoT(モノのインターネット)や医療分野での革新的な企業に対する法人税の軽減などを通じてスタートアップを支援してきた。積極的な振興が、これまで200社近い起業につながっている。

同市に企業が新たに設けた拠点も18年度まで6年連続で50件を突破した。6月にはG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議も開かれ、「起業都市」として大きな関心を集めている。昨年12月に上場した保育所運営のテノ.ホールディングス(7037・M)も、同市に本社を置くベンチャーだ。

起業支援は人口の面でも成果を現している。昨年の福岡市の人口は前年比で約1万人増加した。この数は市町村別のトップ。7月の推計人口は159万人と、14年比で4%増えている。若年層の流入が多い点も大きな魅力と言える。

そして、今後の期待材料は、国家戦略特区に指定された天神地区の再開発「天神ビッグバン」だ。同地区では今後10年でビル30棟の建て替えが視野に入る。建物の高さ制限の緩和により、延べ床面積は現在の1.7倍に拡大し、雇用者数は約2.4倍に増える見通し。経済活動の波及効果は年8500億円と予想される。

5月にリニューアルしたFGNでは、過去2年間で31社が計80億円の資金調達を実現した。新施設はシェアオフィスやコワーキングスペースも充実し、これまで以上に起業家を呼び寄せる聖地へとバージョンアップした格好だ。

この支援施設で重要な役割を担うのが、データセンター大手のさくらインターネット(3778)。「高火力コンピューティング」と呼ばれる高速大容量基盤を安価で提供することで先端ITを支える同社は、ベンチャー企業が利用しやすいクラウドサーバーも手掛ける。最近でも、マネーフォワード(=Mフォワード、3994・M)のスタートアップ支援に参加した。

過去には同社は、テックビューロ(大阪市)の行ったブロックチェーンの実証実験に実験環境を提供。フィンテック(金融のIT化)関連銘柄として相場が大化けした経緯もある。画期的な技術が結集するスタートアップ企業の街での活動は、こうした協業にめぐり合う機会も増える。

7月29日には今3月期上期の連結営業利益予想を2・7億円から4・0億円(前年同期比41%増)に引き上げるなど、既存事業も好調なさくら。しばらく調整してた株価はこのところ好転の兆しを強めている。

このほか、FGNにはレンタルサーバーのGMOペパボ(3633・JQ)や、デジタルガレージ(4819)も携わっている。金融では地元の西日本フィナンシャルホールディングス(7189)に注目。また、天神ビッグバンに絡んでは九州地盤の鉄鋼商社の小野建(7414)をマークしたい。(8月2日株式新聞掲載記事)

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