様々なコモディティがドルの下押し圧力を受ける一方で、米トウモロコシは値を上げて取引されている。

気候変動によるトウモロコシ生産量の減少

米中西部のコーンベルトにおいて急激に気候が冷え込み、米トウモロコシ先物は5週続伸となっている。ミネソタ州では、12日に降雪が予想されている。農業アナリストのDan Hueber氏は7日、コーンベルトにおける異常な湿度や低気温により、トウモロコシの生産量が減少する見通しを示した。

「湿度と気温はともに例年から大きく外れており、トウモロコシにとって決して良い気候ではない」

売り越しから反転へ

一部のアナリストは、シカゴトウモロコシ先物のショートポジションがあまりに多く積みあがっている点に注目している。

週間の投資家向けレポートによると、362049のロングポジションに対して376055のショートポジションとなっている。しかし、今後1週間でネットポジションは反転し、持続的な価格の上昇に転じる可能性が高い。

トウモロコシ先物は、7日に1ブッシェルあたり3.88ドルを下回って取引を終えた。しかし現在の調子だと、4ドルを突破するとみて間違いないだろう。

トウモロコシ 日足
(画像=Investing.com)

直近で4ドルを突破したのは、5月末から7月に9週続伸となった時であり、4.64ドルを記録した。

しかし、この上昇はブルトラップであった。5月から8月までの3か月間では約17%安となっていた。

現在の上昇がいつまで続くかは定かではない。

トウモロコシの買い材料

RJO Futures社の商品マーケットストラテジストであるEric Scoles氏は、ストップロスを慎重に入れてトウモロコシ価格の崩壊の影響に備えた上で、市場参加者は米農務省発表の月例需給報告に注目すべきであるとしている。10日に最新の月例需給報告が発表される予定である。トウモロコシの在庫量は136億3600万ブッシェル、作付面積が8157万エーカーと推定されている。Scoles氏は以下のように述べる。

「在庫量が以前の予想をはるかに下回る可能性は既に存在している。トウモロコシの生育状況は例年と比べて遅れており、以前に発表された月例需給報告は信頼すべきではないだろう」

「今夏の劇的な価格の上下は数多くの市場参加者や農家を混乱に陥れた。10日発表の月例需給報告でトウモロコシの大幅な在庫減が確認された場合、トウモロコシへ買いが殺到する可能性がある」

適切な目標価格は3.98ドル?

また、Scoles氏によると、シカゴ商品取引所の12月限トウモロコシは「好材料を受けた上昇の後、日足チャートで典型的なブルフラッグを示している」とのこと。

「一般的には、ファンダメンタルズ的な要因による上昇の前に、押し目となることが多い。トウモロコシは、今がその時である」 「私の考えでは、適切な目標価格は3.980ドルであろう」

一方、インベスティングドットコムのテクニカルサマリーでは、「強い買い」となっている。

米国政府の政策によるトウモロコシ需要の増加

トウモロコシの買い材料は米国政府によってもたらされる可能性がある。トランプ大統領は2020年の大統領選を前に、ガソリンへの混合が義務付けられているバイオエタノール含有量を引き上げることを明らかにした。

エタノールは通常トウモロコシから生産されている。2016年の大統領選では、米中西部の州からの支持がトランプ氏の勝利に貢献した。

石油精製所は2020年から、最低でも150億ガロンのエタノールをガソリンへ混合しなくてはならない。一部の石油精製業者はこの決定に反発の声を上げている。

石油業界はガソリンへ混合するエタノールの含有量を削減するように、ロビー活動へいそしんでいた。元々エタノールは、地方の石油精製業者が輸入する原油を削減するために義務付けられたものであったが、シェール革命によりこの取り決めは不要になったと主張されている。

石油業界の損は農業界の利益

米雑誌サイエンティフィック・アメリカンによると、米国産トウモロコシの約40%がエタノールの生産に使われている。石油業界に詳しい弁護士のScott Segal氏は、「エタノール業界にとって、トウモロコシが足らないくらい」であり、食糧需給が構造的にタイト化していると指摘する。

ガソリンへのエタノール含有量の増加は、トウモロコシの需要増加を意味し、価格高騰が招かれる可能性は大きい。(提供:Investing.comより)

著者: バラーニ クリシュナン