人生100年時代――。シニア世代はこれからの重要な働き手になると同時に、いわゆる「健康寿命」の延伸も求められる。「老後2000万円」の報告書が記憶に新しい資産形成問題も相まって、高齢者の活躍する経済圏は今後一段と膨らみそうだ。直近では健康関連産業に属する企業の株式を投資対象とする「ニッセイ健康応援ファンド」の購入受け付けが再開されるなど、マーケットも一段と盛り上がりつつある。株式新聞では狙い目の3銘柄を特選した。
コシダカHD――高齢者を健康支援、「カーブス」上場へ
コシダカホールディングス(2157)はカラオケルームや女性向けのフィットネスの「カーブス」、温浴事業などを展開する。2009年に買収したカーブスはシニア層の利用が多く、60代以上が多くを占める。高齢者の健康志向の高まりは強烈な追い風だ。
カーブスは予約不要で1回30分という気軽さが受け、売上高は前8月期に280億円(前期比0.4%増)と5年前の2倍に拡大している。コシダカHDはカーブス事業をスピンオフ(分離・独立)し、子会社カーブスホールディングスを来年3月にIPO(新規上場)する計画を打ち出しているが、コシダカHDの株主には1株当たりカーブス株1株が現物配当される。
株価はスピンオフの発表後に一時的に調整したものの、その後は切り返しの動きに転じている。カラオケ事業も高齢者の客層は大きい。男性向けフィットネスも順調に立ち上がり、相場は新局面入りが期待される。
XNET――老後資金の形成支援、下値切り上げ
高齢者にとって健康と並ぶ大きな課題の一つが老後資金だ。そこで注目を集めているのが、「個人向け信託」。IT会社のエックスネット(=XNET、4762)はこの管理システムを提供する。
個人向け信託は、専門家が資産を管理し運用する投資信託から、資産を子や孫に継承する遺言代用、学費を積み立てる教育資金信託まで総合的に資産の形成や活用を支援する。メガバンクや地銀が近年力を入れて、XNETは今3月期に鹿児島銀行や西日本シティ銀行などへのシステムを相次いで提供した。
XNETの第1四半期の営業利益(非連結)は1.5億円(前年同期比5%減)と伸び悩んだものの、一時的な費用増によるもの。株価は昨年末を底に下値を切り上げるトレンドを維持している。
キャリア――シニア派遣追い風、介護分野も国策乗る
政府は公的年金の受け取り開始時期の選択幅を75歳まで広げる案を検討するなど、高齢者を有力な労働の担い手ととらえている。就労支援も進める方針で、シニア派遣のキャリア(6198・M)は商機が拡大する。
キャリアはシニア層の就労支援にいち早く注力し、実績を積み重ねてきた。特徴を理解し、雇用側にもメリットをもたらす業務フローの改善案を提供することで採用促進を図ってきた。従来のデスクワークから、ビルメンテナンスなどへ業種の領域を広げている。
同社は介護士の人材紹介も手掛ける。この分野も人手不足が深刻で、求人倍率は4倍を超えると言われている。政府は介護職への就職も後押しするため、高齢者支援と両軸で国策の恩恵を受けそうだ。株価は長らく上値を押さえてきた26週移動平均線を突破し、13・26週線のゴールデンクロスも迫る。(10月18日株式新聞掲載記事)
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