もし老後のための投資を始めるのなら、直面する問題は老後を十分に支えることができるようなポートフォリオの構築だろう。

過去十年において世界的に低金利環境であり、低リスク投資の投資機会に恵まれてはいない。米国国債10年利回りも未だに2%を下回る水準で推移している。

このような環境では退職後は株式で良いポートフォリオを組む必要があるが、ボラティリティーが高いマーケットのリスクに晒すことになるだろう。

しかし、このリスクもマネジメントは可能である。銘柄に対し入念なデューデリジェンスを行うのだ。例えば、競合が限定的な分野の一流企業や、規制環境は成長を後押しする状況であったり、収益に関しても多様化し基盤がしっかりしている会社などは投資するに堅い企業と言えるだろう。

このような戦略においては、電力やガスなどの公益事業や、インフラストラクチャープロバイダー、銀行、保険会社などの見栄えがしない銘柄を追求することが大切である。

配当成長株と寡占市場

これらの銘柄は、長年配当を続ける配当成長株である。老後の投資には、高利回りばかりを追求するべきではない。我々がおすすめする戦略は、一株あたり配当金(DPS)の成長と持続性である。それらは企業の財務状況を測る良い指標であろう。

例として、世界的コーヒーチェーンのスターバックス (NASDAQ:SBUX)をあげる。スターバックスは配当利回りに注目した場合そんなに魅力的な銘柄には思えないだろう。しかし、スターバックスは毎年増配しており、一株配当の年平均成長率(5年)は23.40%となっている。四半期配当は一株0.41ドルである。

Investing.com
スターバックス 月足(画像=Investing.com)

また金融セクターに目を向けてみると、カナダの銀行は北米の中で最も配当が良い銘柄である。アメリカの銀行と最も違う点は、競争や規制の点でリスクが低いことと、収益の多様性を確保しているという点である。

カナダの銀行は寡占状態にあり、規制環境もこれらの銀行の成長が見込まれる状況にある。カナダのメガバンクは、成長配当株を通して投資家に還元しており、純利益の40%~50%を配当金として支払っている。

カナダの銀行の中でも、我々はトロント・ドミニオン銀行 (TSX:TD)を推薦する 。同行はカナダで2番目に大きな銀行であり、増配と米国におけるリテールバンキングの点において評価ができる。

Investing.com
トロント・ドミニオン銀行 月足(画像=Investing.com)

4つのセクター

配当銘柄を追求する上で、4つのセクターに対して増配が期待できると考える。それらは、銀行株、総合型石油会社(シェブロン (NYSE:CVX)やエクソン・モービル (NYSE:XOM))、マイクロソフト (NASDAQ:MSFT)のような確立しているテクノロジー企業、ネクステラ・エナジー(NYSE:NEE)のような再生可能エネルギーを展開する公益事業である。

総括

堅調な配当成長株から構成する投資戦略は、現在のような低金利環境でも良いリターンを得られる選択肢であろう。退職後の資産を築く上では、堅実なアプローチをとる必要があり、確立された信頼できる銘柄を長期投資するべきだろう。(提供:Investing.comより)

著者: ハリス アンワル