毎日看護師として激務をこなし、プロの仕事をしながらも、ふとした時に
「今よりもっと、患者さんに寄り添う看護をしたい」
「よりよい看護のために役立つ資格はないのだろうか?」
と思っているのではないでしょうか?

2025年には、人口の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会が到来するといわれています。社会の変化に応じて看護師に求められるスキルも変わってきている今、看護師としてどのように患者さんと向き合い、キャリアを築いていけばいいのでしょうか。この記事では患者さんに最も近く寄り添う看護師に役立つ資格と学び、キャリアへの活かし方について紹介します。

看護の幅がひろがる資格や学び3例

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(画像=Jacob Lund/Shutterstock.com)

① アロマセラピスト
アロマセラピー(アロマテラピーとも)は、一般的に精油(エッセンシャルオイル、植物に由来する芳香なども含む)を用いて心や体を癒す施術を指します。芳香療法とも呼ばれ、元は精油を用いた伝統療法・民間療法として古くはヨーロッパやアラビアで行われてきました。心や体の不調を癒すとされ、おもに芳香を利用したリラクゼーション、精油を使用したトリートメントやボディ・リンパマッサージ、美容法、石鹸やクリームなど美容グッズへの配合と利用などが知られています。

例えばドイツでは「ハイルプラクティカー」と呼ばれる「自然療法士」の資格があり、現代医療とは別に代替医療の一種として認められています。
日本では、アロマセラピーを行う「アロマセラピスト」の公的な資格は現在、ありません。一方で多くの民間資格があり、専門学校や通信教育システムなども増えています。趣味で学ぶ人、サロン開業のために学ぶ人とさまざまです。ただし、多くの民間資格や学校の中には、問題があるものもあるため、注意が必要です。

一例として、医療従事者がアロマセラピーを医療に正しく応用する目的で設立された「一般社団法人 日本アロマセラピー学会」があります。会員は医師・歯科医師・その他医療従事者やそれに準ずる研究機関研究者、医療機関の所属長の推薦がある者など、医療現場、患者さんに対してアロマセラピーを役立てていくという、会の目的に賛同する人・法人に限られます。科学的研究データや臨床記録にもとづいたセミナー、研究会などが開かれています。
アロマセラピー学会では以下のような各種認定制度が設けられており、自分の学びたい認定コースを選べます。(詳細は学会HPで確認してください)
・JSA基礎認定
・JSAトリートメント認定
・JSA施設認定
・精油精度認定

例えば、終末期の患者さんの在宅医療の環境を香りを使って整える(看取りの時期は、疾患によって吐物や排泄物の匂いに患者自身が辛くなる場合もあり、アロマをケア時や入眠時に取りれるなど)、看護の補佐的な意図でフットマッサージを行うなどの利用方法が考えられます。
もちろん、精油の芳香が好きな方には、自分自身の仕事の疲れを癒すためにもアロマセラピーは有効でしょう。

自分自身も楽しみ癒されながら患者さんのケアにも幅広く応用することが期待できるアロマセラピーですが、精油には直接肌につけてはいけないものもあります。また、香りが苦手な方、アレルギーを起こす方もいます。利用する際は正しい知識が必要です。

② 公認心理士
「心のケア」にかかわる国家資格です。
2015年9月に国会にて「公認心理師法案」が成立し、2017年から施行され、国内初の心理職専門資格である「公認心理師」が誕生しました。公認心理師は以下のような業務に従事できます。
(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

【引用元】厚生労働省:公認心理師>1公認心理師とは

公認心理師の取得方法にはいくつかの方法がありますが、その中で特例措置として、平成29年9月15日以後5年間は「実務経験が5年」あることで、4年生大学において指定の科目を履修していなくとも資格が取れる可能性があります。

例えば病院の精神科で5年以上勤務している看護師の場合、取得できる可能性があります。特例の申請に当たっては「当該行為を業として行っていることについて、証明権限を有する者(施設の代表者等)による証明書の提出を求める」こととされています。

【引用元】厚生労働省:「公認心理師資格についてのQ&A」(10)「受験資格の特例(附則第2条第2項)に定めるもの(いわゆる現任者)とはどのようなものですか」)

患者やそのご家族に対する「心のケア」について実務で学んでいる人も、より深く学びたい、新たなキャリアにつなげたい方は多いのではないでしょうか。取得の資格があるかどうか確認のうえ、チャレンジしてみてはいかがでしょう。
なお上記のとおり、特例措置期間は平成34年(令和4年)までとなっています。

③ ケアマネージャー
ケアマネージャーは、要介護者の状態にあわせて、総合的な観点から最適な介護サービスをコーディネートする仕事です。主な業務は以下のとおり。

・市区町村との連絡調整
・介護サービスの要望を要介護者に代わって医療施設に伝え、要介護者が自立した日常生活を営むためのあらゆる援助を行う
・アセスメントに基づいたケアプランの作製
・要介護者やその家族の相談への対応、要介護認定 など

ケアマネージャーの受験資格は、医師や看護師、社会福祉士などの資格を持ち、5年以上の実務経験があることとなっています。

ケアマネージャーは要介護者と介護施設、行政の間をつなぐ重要な役割をもつ資格です。今後、地域における在宅医療がますます推進されていく中で、ケアマネージャーの需要も増すと考えられます。看護師としての高い医療技術提供に加えて、「どんな介護、ケアが、人生をよりよく生きるためにこの人には必要なのか」と考え実行できる資格といえるでしょう。

「2025年問題」で広がる患者のニーズと看護のあり方

超高齢化社会を迎えるにあたって、患者のニーズがより複雑化していくといわれています。高齢者は複数の疾病や障がいに悩まされているケースが多く、社会的環境や経済的要因を踏まえた看護が求められます。

また、健康や命の価値観が時代の流れの中で変容し、尊厳を保って最期の瞬間を迎えることを重視する人が増えてきています。「医療」の枠を超えた、総合的で、より近くから患者と向き合う対応が求められるのが今の時代の看護の特徴です。
ここで紹介した資格や学びをもとに、自分らしい「看護」を考えキャリアに活かしてみませんか。(提供:Medi Life

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