「テクノロジーが人間から仕事を奪う」という懸念は薄れ、近年は「人間の能力を最大限に生かす手段」として、テクノロジーと人間のコラボレーションを積極的に活用する動きが目立つ。
こうした潮流に乗り、資産運用・管理とテクノロジーを融合させたWealthTech(ウェルステック)が、ますます進化を遂げている。2020年の主流となる可能性を秘めた、4つのトレンドを見てみよう。
WealthTech とは?
WealthTech とは、AI(人工知能)やブロックチェーン、ビッグデータなど先端テクノロジーを活用し、資産管理・運用(投資を含む)の効率化や利益拡大を図る、Fintech(金融×テクノロジー)の一種だ。
AIが投資判断やアドバイスを行うロボアドに代表される投資アプリ、プラットフォームやソフトを利用したデジタル・ブローカーなどが、WealthTechの人気商品・サービスとして浸透している。実際には、ポートフォリオ管理からマイクロ投資まで、さまざまなウェルス(富)をターゲットとする商品・サービスが存在する。
2020年、注目の4つのトレンド
他のFintech同様、新しいテクノロジーの誕生や市場の需要の変化に合わせ、WealthTechも常に進化している。今回は現在注目されている、あるいは近い将来注目されるであろう4つのトレンドをご紹介しよう。
1.消費者の関心は、ロボアドから「ロボリタ」へ?
従来のロボアドが、個人の投資目標に合わせた投資プランを提案するのに対し、「ロボット・リタイヤメント(Robot Retirement)」は、老後の資金形成に焦点を当てたプランを提案する。
統計サイトStatistaが米国の労働者を対象に実施した調査からは、回答者の48%が老後に必要な資金を「推測」で算出しており、ファイナンシャル・アドバイザーなどの専門家と相談しているのは、わずか4%であることが明らかになっている。
ロボット・リタイヤメントのように、低コストで気軽にスマホからアクセス可能なサービスが増えることで、老後のための資産運用に関する適切な知識をより多くの消費者が得やすい環境が整うはずだ。
既に、Betterment やUnited Income(Capital One 傘下)、SigFigなどのFinTech企業が、リタイヤメント向けのロボアド商品やアドバイスなどを提供している。また、ファイナンシャル・アドバイザーやアセット・マネジャーなど、専門家向けの商品・サービスも増えている。
ニューヨークで2012年に設立されたFeeXは、IRA(個人年金制度)や401k(確定拠出型企業年金制度)、403b(非営利団体・教育機関などの年金制度)など、クライアントのリタイヤメント用の口座を自動分析し、パーソナライズされたプランやアドバイスをファイナンシャル・アドバイザーやアセット・マネジャーに提供している。