例年1~3月の時期は所得税の確定申告シーズンとして知られていますが、実は贈与税の申告時期でもあります。贈与税の申告期限は所得税の申告期限と同日です。今回は、贈与税の申告が必要なケースについてみていきましょう。

2019年に贈与を受けた人は2020年4月16日までに申告納税すべし

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(画像=PIXTA)

2019年1月1日~12月31日の間にお金や財産をもらった人は2020年4月16日までに贈与税の申告・納税をしなくてはなりません。例年だと所得税の確定申告と同じ3月15日(この日が土日祝日だとその次の平日)が贈与税の申告期限です。2020年に限っては、新型コロナウィルス感染拡大防止対策として確定申告会場への人の密集を避けるべく申告期限が1ヵ月延長されました。

贈与税の確定申告をすべき人

贈与税の確定申告はお金や財産をもらった人(受贈者)が行うことになります。ただしもらったら何でも申告しなくてはいけないわけではありません。

原則「1年間で110万円超のお金や財産をもらった人」は必須

「110万円未満なら贈与税はかからない」と耳にしたことはありませんか? 逆にいえば「前年の1年間で贈与を受けた総額が110万円を超えるならば贈与税の確定申告をしなくてはならない」となります。

なお110万円というのは「もらった側が総額で受け取ったのがいくらか」で考えるため勘違いしないように注意しましょう。

例えば財産をくれた人(贈与者)一人あたりの贈与額が30万円であったとしても30万円くれる人が5人いた場合は「30万円×5人=150万円>110万円」と110万円を超えてしまうため贈与税の確定申告が必要です。

110万円を超えた贈与でも申告不要な場合

ただ110万円を超えた贈与なら何が何でも申告・納税しなくてはならないわけではありません。例えば以下のような贈与は110万円を超えていても贈与税がかからないため、申告はしなくてよいことになります。

  1. 夫婦や親子といった家族内での生活費や学費のやりとり
  2. 香典や花輪代、お歳暮やお中元、祝い金やお見舞い、お年玉(社会通念上相当)
  3. 離婚による財産分与
  4. 懸賞やクイズなどでもらった賞金
  5. 父母や祖父母から教育や結婚・子育てのためのお金を信託銀行経由でもらった

1.と2.は「日常生活や社会生活に必要なお金には課税しない」という観点によるものです。ただし社会通念上相当という常識の範囲内であることが求められます。
3.も一方が過度に受け取る財産分与や偽装離婚でなければ贈与税はかかりません。ただ土地建物の財産分与は所得税の確定申告が必要です。
4.は一時所得となるため、贈与税ではなく所得税の確定申告が必要になる場合があります。

5.は贈与税の非課税措置の適用対象となりますが要件の一つである非課税申告書を信託銀行経由で税務署に提出していれば贈与税はかかりません。

こういう贈与は非課税でも確定申告が必要

贈与額が110万円を超えていても贈与税の非課税措置の適用を受ける贈与は贈与税がかかりません。ただ以下のように「それでも贈与税の確定申告」が求められるものもあります。

  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置
  • 配偶者への居住用不動産あるいは資金の贈与の非課税措置

これらの制度は贈与税額が0円であっても申告書を期限内に提出しなくてはなりません。

相続時精算課税の適用を受ける人はたった1円でも申告しなくてはいけない

相続時精算課税制度は、累積で2,500万円までは贈与税が非課税になるという制度です。非課税枠が非常に大きい一方で年間の贈与額がたった1円であっても贈与税の申告をしなくてはならないという要件があります。

相続時精算課税を受贈者が贈与者ごとに選択することができますが、いったん選択すると贈与者が亡くなるまで110万円までの暦年贈与を選択することができなくなるため注意しましょう。

また相続時精算課税制度は贈与者が生存時は贈与税が非課税となりますが、贈与者が死亡した場合は贈与を受けた分が相続財産に計算されるため資産によっては相続税がかかる可能性があります。

「申告が必要なのにうっかり無申告」の4つのあるあるパターン

贈与税がかかるのは目に見えて分かりやすい金銭や不動産、高額なブランド品や美術品をタダでもらったときだけではありません。次のように「財産あげます・もらいます」という形でない4つのパターンでも贈与税がかかります。これらはうっかりして贈与税の申告を忘れやすいので注意しましょう。

  1. 借金の帳消し
  2. 外車や宝飾品をタダでもらった
  3. 高い財産を安く買った
  4. 親が保険料を払った生命保険金を満期で受け取った

1 借金の帳消し

借金はマイナスの財産です。500万円の借金が帳消しされて0円になると「0円-(-500万円)」=+500万円」として500万円分の贈与があったとみなされるのです。

2 外車や宝飾品をタダでもらった

家族や仲良し同士でモノのやりとりはよくあることですが、そのやりとりの対象が高額な外車や宝飾品、ブランド品や美術品だと贈与税がかかります。

3 高い財産を安く買った

高い財産を格安価格で買った場合も要注意です。例えば時価500万円の高級腕時計を10万円で買った場合、490万円部分を贈与だとみなされ贈与税がかかる可能性があります。なお同時に高級腕時計を売った側には譲渡所得として所得税がかかります。

4 親が保険料を払った生命保険金を満期で受け取った

親や祖父母といった他人が保険料を負担してくれた保険金を満期で受け取ると、その保険金はお金を支払った人からの贈与とみなされ贈与税の対象となります。

保険料を支払っていた人が亡くなり、その保険金を受け取った場合は相続税の対象となります。
例)
被保険者:夫
契約者:夫
保険受取人:妻

上記のケースでは保険料を負担していた人が亡くなったわけではなく、満期で保険金を受け取ることになるので贈与税の対象となります。

無申告のペナルティは重い!期限内に申告しよう

贈与税を申告・納付するという作業は慣れていない人にとっては気が重いものです。「これくらいバレない」と思いたいところですがバレると以下のようなペナルティがかかります。

  • 無申告加算税(期限後に申告したときの罰金的な税金、原則50万円までは15%・50万円を超える場合は20%)
  • 重加算税(悪意ある無申告だと認められたときの罰金的な税金、無申告だと40%)
  • 延滞税(法定納付期限より遅れて納税したときにかかる罰金的な税金、期間に応じて計算)

余計なお金を払ってムダをしないためにも贈与税の制度内容をしっかりと押さえたうえで期限内に申告しましょう。(提供:相続MEMO


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