米国連邦準備制度(FED)の研究者が、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)について研究した文献レビューを発表した。

CBDC
(画像=月刊暗号資産)

「中央銀行のデジタル通貨・文献レビュー」と題したレポートによると、これまでのCBDCに関する議論は、理論的に見て大きく以下2つの問題を提起してきたという。

    • 商業銀行に対するCBDC導入の効果
  1. 金融政策と金融に与える安定性および福祉への影響

基本的にCBDCは、商業銀行の預金に代わる有利子負債として機能する可能性があるとし、このような代替通貨と共存する場合、商業銀行は口座開設者への預金金利を変更するなどして対策をとることが考えられるとFEDは説明している。

それらの点から、CBDCが銀行の主要資源と相反することや、融資の減少などを懸念点として挙げた。

金融政策と金融の安定性に関する効果では、CBDCが新しい金融政策ツールとして機能することにより、家計のポートフォリオを占める割合や、銀行の破綻確率に影響を与える可能性があると説明。CBDCが金融政策の多くに影響を及ぼす可能性があるとしている。

レポートでは最後に、現状どのような文献を研究してもCBDCに関しては多くの疑問が残っていると指摘。特に「CBDCの本質的な特徴」については、「決済手段や価値の貯蔵方法において、家計のポートフォリオ選択にとってCBDCの特性がどのような影響を与えるのかが重要だ」としている。

日常的な決済手段は現金からクレジットカード、モバイル決済と、多様な手段が増加しているが、支払い手段の選択傾向は所得や年齢などの人口統計学的特徴では十分に説明できないことが示されているとレポートでは説明している。

またCBDC導入のミクロ・マクロ的効果を理解するには、消費者の支払い選択動向を理解することが不可欠だと述べている。(提供:月刊暗号資産